スーパーでこの「焼きさばごま味噌風味担々風」なるものを見つけたとき、結構衝撃を受けてしまったんですよ。
もちろん品物自体のドッキリ感もあるんですが、それに加えて担々風は料理のジャンルを超えて味付けそのものに昇華したのかと。これってカレーがたどった道と同じだよね。
私が初めて担々麺を食べたのは2000年頃でした。どれくらい前から担々麺があるかというと、もともとは四川のファストフード。それを陳建民さんが日本向けにアレンジしたのがいつ頃何だろう。50年くらい前のことなんですかね。ともあれ2000年頃には四川料理専門店に行かなくても、街中のラーメン屋で担々麺が食べられたのは確かです。
2000年頃はちょっとしたブーム的な広がりだったような気がしますが、その後も廃れることなく担々麺は定着すると共に、バリエーションも増えました。汁なし担々麺は先祖返りっぽくありますし、冷やし担々麺もおいしい。ファミレスで担々うどんなるメニューを見たときには結構衝撃がありましたが、それでも麺料理の範疇には収まっていました。コンビニやスーパーで担々風インスタントスープもたくさん見ましたが、これも担々麺のスープだけを取り出したと思えば、やはり担々麺の範疇だったかと思います。でも、今回見つけたのは担々風味付けの鯖缶なわけですよ。もう麺料理でもスープでもなんでもない。担々は料理ではなく、味付けの一つになってしまった。
これって冒頭に書きました通り、カレーが通った道ですよね。カレーは元はインド料理ですが、日本に入ってきたときにはカレーライスとして食べられていた。でもその後料理のバリエーションが増えるとともに、カレー味という味付けだけが取り出されることにもなりました。担々もその仲間入りを果たしたわけです。他にこういう例って何があるんだろうな。元々は単独の料理だったのに、その味付けだけが独立した例って。ありそうで、意外となさそうな気もする。
(2021/1/13追記)
この記事を再構成して担々味研究を書きました。