自家用車をお持ちの方がマンションを購入する際、「マンション内の駐車場が確保できるか」というのは大きな要素だと思います。
万一マンション内の駐車場を確保することが出来なかったら、マンションの外の月極駐車場を借りなければなりません。そうなると、一般にマンション内駐車場よりも金銭面で不利ですし、何より自家用車に乗り降りするのに不便となります。自身が乗り降りするだけならともかく、小さな子供と一緒だったり、大きな荷物を運んだりということを考えると、マンションの外の駐車場というのは大変不便だろうと思います。
なので、おそらくは「駐車場100%確保」というマンションを検討項目に挙げられることになるかと思います。それはその方にとっては重要な要素には違いがないのですが、ちょっとお待ちください。マンション全体の管理という面で考えると、必ずしも「駐車場100%確保」のマンションが良いとは限らないかもしれません。
何が問題かというと、駐車場の使用料はマンションの管理組合の収入になるという点です。当然ですが、駐車場が全て利用されることを前提にマンションの管理組合の予算は組まれるわけですが、昨今「車を」所有しないというライフスタイルが随分と広がってきています。以前ならマンション内に100%の駐車場があったとしても当然のように全ての駐車場が利用されていましたが、最近ではそうとも言えなくなってきました。そもそも、車を持っている世帯が一定以下であれば、マンション内の駐車場は利用されないということになります。利用されないと当然に使用料も支払われることはありませんから、その分マンション管理組合の収入が減ることになります。減るだけならいいですが、あることを前提に予算が組まれていますから管理組合の会計が赤字になります。赤字になったらどこかからお金を持ってきて補填しなければなりませんが、それは最終的にはそのマンションの所有者の懐からということになってきます。
駐車場が全て利用されないなら、外部に貸し出せばいいではないか」という考え方もあります。それを実践している管理組合も多数あることでしょう。しかし、マンション外の人に駐車場を貸し出すと、マンション外の人がマンションの敷地内を通行することになります。このことの問題点は敷地の通り抜けで書きました通りです。出来れば避けたほうがいいと私は思います。
ということで、駐車場が100%確保されているマンションを購入する場合、立地や居住者構成などから、将来に渡ってほとんどの駐車場が利用されるかどうかという点を見極める必要があるのではないかと思います。
(2012/3/9追記)
週刊ダイアモンドに関連記事が出ていました。
記事の内容は課税リスク解消でも根が深い マンション駐車場がら空き問題でも読めます。実際にマンションの駐車場に空きが出て問題になっている例が取り上げられています。外部への貸し出しにおいては、その収入に対して課税されること、納税のコストが指摘されています。(納税業務は税理士の独占業務なので管理会社には委託できず、別途税理士に依頼する必要があります)