マンションは100年もつのか

2007/4/30作成

マンションに限りませんが、日本の住宅の平均寿命は30年程度で非常に短いそうです。欧米では数十年から100年以上も持つそうですので、その差は大きいです。

ただ、日本の建築も昔から寿命が短かったわけではありません。住宅ではありませんが世界最古の木造建築である法隆寺は日本にありますし、最近ではだいぶ減ったとは言え築100年を越える古民家はかなりあります。都心でも明治、大正といった時期に建てられた建築が今でも残っているものも多いです。

最近読んだ「地震とマンション (ちくま新書)」という本によりますと、現在の日本の建築物の平均寿命が短いのには日本の特殊事情があったそうです。それは太平洋戦争と戦後の復興期。とにかく物資の無いこの時期には特例的に建築基準が大幅に緩和され、いわば安普請の建物が大量に建てられたそうです。その緩められた建築基準は比較的最近まで残されてしまったため、この間に建てられた建物は耐久性がかなり劣るそうです。そういった建物が寿命が尽きて解体されるため、現時点で統計を取ると平均寿命はかなり短くなってしまうわけです。

旧建築基準はともかく、現在の建築基準はかなり厳しくなっています。また、マンションデベロッパの中には100年持つコンクリートを売りにしているところもありますね。では、今後日本の建築物の平均寿命は伸びていくのでしょうか。多少は伸びるでしょうが、100年までには伸びないんじゃないかなぁと個人的には思います。それは、建築の寿命には構造的な寿命と経済的な寿命があるからです。

構造的な寿命は鉄筋コンクリートの寿命にほぼ等しいです。こちらは法制度と技術の進歩によって100年を越えることもできるでしょう。

経済的な寿命とは、経済的な価値を保っている期間のことです。住宅で言えば、その住戸を買ったり借りたりする人がいるかどうかですね。この寿命はかなり短いのではないかと思います。それは、時代の変化によって人々の求めるものが変わるからです。もちろん、内装や設備についてはリフォームで最新のものに取り替えることもできます。でも、例えば床面積といった構造的な仕様は変えようがありません。かつて憧れだったという団地族。その2DKに今でも住んでいる人は居ますが、憧れる人は少ないと思います。

環境問題とか経済的な問題とかを考えると、建物の寿命は短いよりは長いほうがいいと思います。が、実際にはなかなか難しいのではないだろうか。例えば自分が住んでいるマンションも含めて、最近建築されたマンションが100年後も経済的な価値を保っているかというと、正直そうは思えません。構造的な寿命の問題は解決出来ているとして、では経済的な寿命の問題をどうやって解決していくか、考えるべきなのかもしれません。