それでも好きを貫くのもあり

2010/1/16作成

結局は自分の好きなことを貫き通したやつが負け

基本としては完全に同意します。「舞台の上に立つものは」とされていますが、それ以外にもおよそ働くということに関する人全てに当てはまる話だと思います。つまりは、働いて報酬を得るということは、自分のためではなくお客さんのためにするということですから。

ただ、部分的には反論というか、どうかなぁと思うところが無いわけではないので、以下少し書いてみます。

・そもそも「売れる」=「勝ち/正しい」なのか

いきなり中二病的反論ですいません。

元は芸人養成スクールの話であって、生徒は全員「売れる芸人」を目指しているでしょうから、売れるのが勝ちで正しいでしょう。しかし、広く世の中の話として適用するとなると、少々変わってくると思います。

ゴッホは生前に絵は1枚しか売れなかったそうですが、ではゴッホの人生は負けかというとそうとは限りません。ゴッホの人生が勝ちか負けかを決めるのは、最終的にはゴッホ自身でしょう。だから、売れたいとは別に思わなくて単に自分達が面白いと思っていることをやりたいだけの人にとっては好きを貫くのが正しいということになります。

・マーケティングが正しいとは限らない

顧客指向を突き詰めていっても売れるとは限りません。それは、顧客自身が自分の欲しいものを正確に把握しているとは限らないからです。マーケットリサーチを徹底的に行って顧客が望むものを完璧に実現したとしても、それが顧客の本当の願望と一致していなかったら、やっぱり売れないでしょう。

ライブでは終わった後に観客にアンケートを取りますよね。あのアンケートに完全に応えたとしても、面白いとは限らないというわけです。

・天才を潰してしまう可能性

まれにですが、好きを貫いて、なおかつ売れてしまうという人も居ます。天才の一種と呼んで構わないと思います。そういった人は数が非常に少ないから無視しても構わないかもしれません。ていうか、多数の生徒を同時に指導するにあたっては、そんなもん気にしてられないかもしれません。しかし、元記事の指導法ではこういった少ない天才を潰してしまう危険性があるのではないかと思います。

・真のイノベーションは「顧客指向」からは生まれないのではないか

マーケティングが正しいとして、徹底的に顧客指向の商品を作ったとします。それは売れるかもしれませんが、所詮は既存の商品の二番煎じでしかあり得ないでしょう。真のイノベーションは顧客自身も知らないところから生まれると思われますので、この指導法ではそういったイノベーションを起こせないのではないかと思います。