ビジネスSaaSの料金制度

2024/9/9作成

ビジネス向けSaaSの料金に体系についてちょっと思ったことを書いてみます。

ビジネス向けに限らず、一般にSaaSで料金体系といえばサブスクです。月額いくらって体系が多いですよね。コンシューマー向けの場合はそれで理解しやすいんですが、ビジネス向けの場合はちょっと変わってくると思うんですよ。というのは、会社などの組織としてSaaSを利用しますので。

現状、大抵のビジネス向けSaaSでは料金体系として、利用人数ごとの課金としています。利用者一人あたり月額いくらとかですね。社員が100人だと100人分かかります。人数が多くなるとディスカウントされることもありますがね。

さてこの料金体系の何が問題かというと、まず一つは提供側の原価に沿ってないという点です。もちろんサービスのプログラム開発にもサーバの運用にもコストがかかっているのですが、そのコストは利用者一人一人に対してリニアには増えていきません。先月が利用者50人で今月から51人に増えたとしても、提供側のコストはほぼ変わらないんですよね。なのに課金だけ増えていると。

もちろん必ずしも原価に基づいて課金しなきゃならないって決まりもないんですけれど、原価に基づかない課金は競争相手との値下げ圧力で下がりやすいという特性があって、正当に競争が行われていると自然と原価に収束していくはずなんですよね。そういう意味では人数あたり課金は競争が正常に行われていないんじゃないかという気もします。

また、課金処理自体の面倒もあります。ある程度以上の規模の会社なら毎月誰かが入ったり辞めたりしていきますから、利用人数も毎月変わります。請求側も支払い側も毎月変動する料金を管理するのはちょっと面倒ではないかと。定額にしておけば手間がぐっと経るんじゃないかなと思うんですね。まあ、この辺の請求と支払いの処理ってソフトで自動化されているので、実際にはあんまり手間は変わらないのかもしれませんが。

最後にこれはモラル的にちょっとあれなんですが、コスト節約のために社員全員にアカウントを取らせないという対応がなされるんですよ。たとえばエンジニアの社員にはGitHubのアカウントを作成するけれど、ディレクターとか営業の社員にはアカウント作らないとかですね。結果、これらの職種の社員はGitHub上にあるリソースが閲覧できなくて業務に支障が出てしまう。

もっと酷いところだと、利用料を節約するために共有アカウントを運用し始めます。社員は10人居るのに、アカウントは5人分しか作らず、残りの人はパスワードを使い回して利用するわけですね。もちろん利用規約違反なのですが、金銭が絡んでいるのでそのような行為を行ってしまうインセンティブが働いてしまうわけです。

というように考えると、一人あたり課金の仕組みって問題があるんじゃないかなと。一つ一つの問題は致命的とまではいかないんだけども、全部合わせて考えると結構な問題なんじゃないかなと思うんですね。そしてこれは会社ごとに課金する体系に変更すれば一気に解決するんですよ。そう考えると、料金体系を会社ごとにしてしまうSaaSが存在してもいいんじゃないかなぁと思うんですが、あまり見かけないことを思うと、私が見落としている欠点があるってことなんでしょうかねぇ。