「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」が凄い

2024/1/30作成

ちょいと必要があって小論文の書き方の本を何冊か読みました。その中で一番凄いなと思ったのがこちらの「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55(ISBN:978-4046044679)」です。実際には読んだのは改訂版の方ですけどね。

小論文に限らず文章の書き方の本はこれまでにもいくつか読んできたんですが、どの本も基本的に書いていることって「文章をどうかくか」の How なんですね。字下げとか段落の分け方とか接続詞の使い方とか。それはそれで重要なんですが、一番大事なのは「何を書くか」の What なんですよね。それについて書かれた本というんはあまり見かけない。一番近しいと思ったのは山田ズーニーさんの「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」ですかね。この本に「考えを書けと出題されたとき、普段から考えてないことは書けない」ってあって、それはその通りだなと思いました。ただ、この本にも、ではどうやって考えたらいいか、何を考えたらいいかってことは書かれてないんですね。せいぜい普段からニュースを見ておけくらいの話で。そこんところを根底から覆して書かれているのが、「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」です。

カバー裏の筆者紹介文には「小論文を「文章表現ではなく問題解決能力の試験」と再定義」とありまして、なるほどなと思いました。それはその通りだなと。実際、本書では「このような問題文の場合、出題者が何を意図しているか」を解説し、それに対して「何を考えれば出題者の意図に沿うか」を提示し、さらに例文としてダメな例といい例の両方をあげて、それぞれが具体的にどこがどうダメなのか、いいのかってことまで解説されている。ここまで親切で具体的な文章の書き方の本は初めて見ました。

この例文が具体的に示されるのも本書の特徴かなと思います。文章に限りませんが、ゼロから全て自分で書いていくのってかなり難しいんですよね。例の文章があれば、それを参考にどういう切り口で、どういう構成で書けばいいかってのが具体的に分かりますね。しかもダメな例もあげてあって、そのどこかどうダメかも示してあると。めっちゃ親切ですやん。

同じくカバー裏の筆者紹介には「その確実なノウハウは受験生のみならず就活生やビジネスパーソンにも支持され、」とある通り、この本って単なる受験参考書ではなくて、小説を除くすべての文章の書き方に通じる考え方ではないかと思います。いや、小説にも適用できるかもしれないな。結局は読者が何を求めていて、読者に何を伝えるかってことを考えて書かないといけないので。

ということで、たまたま手に取った本ですが非常に有益だなと思いました。いやまあ、実際にはAmazonで高評価だったので選んだんですけどね。口コミも役に立つもんですね。