最近、とあるOSSプロダクトを知りました。ちょっとネガティブ方向に取りあげることになってしまうので、あえてリンクは貼りません。そのプロダクトを批判するのが意図ではありませんし、そのプロダクト独自の問題でもないからです。あくまでも考えるきっかけだっただけのことなので。
そのプロダクトは業務改善、最近の言葉で言えば DX を実現するためのソフトウェアです。OSS ですが開発主体は事業化していて、実際にたくさんのユーザが利用されているそうです。OSS としてもスタートアップとしても、まずまず成功した状態だと思います。ただ、多分ですが開発者の方の本当に目指していた未来には遠く及んでないのではないかという気がします。
日本企業において DX が進まず生産性が低いという話はよくニュースになっています。個人的にも、そこをなんとか出来ないかなぁと考えているところはあります。この OSS プロダクトも、そんな課題感から開発されたもののようです。実際に開発され、多くのユーザに使われて、そして使っているユーザは実際に業務改善が出来ているという意味では成功しています。しかし、日本全体という視点で見た場合、ほとんどの会社は DX が行われていませんので、そういう意味ではまだ成功していないとも言えます。
私自身はプログラマなので、ソフトウェアを作る人です。なのでどうしても、課題を解決するときにソフトウェアを作って提供することを考えます。今現在課題が解決されていないのは、それを解決するソフトウェアが無いからであって、ソフトウェアを作れば課題が解決すると考えてしまいがちです。でも実際にはそうではないんですよね。ユーザの手元に届けて使ってもらうためには、届ける人が必要。ありていに言えばマーケティングとか営業とかそういう活動が必要ってことです。文章にしてしまえば何を当たり前なことをと思ってしまいますが、ついうっかりそれを忘れてしまいがちなんですよね。ということで、こうして改めて文章に書き出しているのですが。
自分が作ったソフトウェアで社会を変革できれば、とよく夢想します。例えば、iPhone が登場して世界は一変したわけですが、そんなソフトウェアを自分でも作ることが出来ればなと考えます。確かに iPhone は画期的な製品ではあったのですが、iPhone が実際に世の中を変えることが出来たのは、iPhone を作り上げた人がいたと同時に、それを売り出して実際にユーザの手元に届けるために頑張った人がいたからなんですよね。
世の中にはまだまだ多くの課題があります。それらを改善することは社会をより良くすることです。課題が現在解決されてないのは解決するためのツールが存在しないからだと思いがちなのですが、実はツール自体は既に存在していることも多いようです。冒頭の業務改善 OSS のように。iPhone だって先行プロダクトが皆無だったわけでもありませんし。既にツールが存在しているのに課題が解決されていないのは、そのツールが実際に使われていないからという理由の方が大きいのかなと思ったのが、この記事を書いた理由です。こう書くとまるで作る人軽視で売る人重視のようにも感じますが、そういうわけではないです。作る人ももちろん重要だけど、売る人も重要だよねってことですね。要は両輪であって、そのどちらかが居なくても成り立たないということかなということです。ほんと、書き出してしまえば当たり前のことなんですが、つい忘れてしまっているなぁと思ったので、文章化した次第です。
(2023/12/23追記)
書きもれましたが、既にツールは存在すると言っても、実はそれが機能として不十分という可能性ももちろんあります。惜しいところまでいってるんだけど、ラストワンピースが欠けてるとかね。iPhone の先行製品たちも、やはり何か欠けているところがあったから社会を変えるまでには至らなかったんだろうと思いますし。
なので、普及させられてないだけって考えるのも片手落ちだと思います。あ、今って片手落ちって差別語で使っちゃダメなんでしたっけ。まあいいか。個人的にはツールが存在しないから社会がとどまっているというモデルに考えが偏っていたので、普及が足りてないだけって視点もあるよと書いたまでのことです。