この前、新卒から3年育てた子が、やっと色々任せられるようになったなと思ってたら「スキルアップしたのでもっとお給料の良いところに行きます!」って羽ばたいて行きました。死にます。 https://t.co/JPG7h4Y5Ii
— お鯛 (@otto_morgen) November 16, 2023
ああこれは辛いねぇと思いつつ、一方で職業選択の自由を考えると制限するわけにもいかないし、人間同士の関係性という意味では当人の幸せを願うというのも自然な考えでもあるし。
新人教育係の徒労感も大変ですが、その教育にかかるコストは会社が負担してるわけで、会社としては丸損ではあるんですよね。昭和の終身雇用時代であれば、新人のうちのコストかけて教育しても、その後の長い社会人人生の中で返してもらえてたので帳尻があっていた。その教育コストだけをかけた赤字の状態で退職されると企業としては正直しんどいですよね。
そこでふと思ったんですが、プロスポーツ選手の場合はチーム移籍が容易でない場合があるじゃないですか。あんまりスポーツ詳しくないんで、プロ野球とかプロサッカーくらいしか知らないんですが。当人の意思でチーム移籍できないのって職業選択の自由の侵害だなぁという気がするんですが、一方でチームとしては何年もかけて育成してきて、ようやく戦力になると思った頃に移籍されたら育成損ですよね。そこを補填するために十分にチームに貢献したといえる状況になるまでフリーエージェントの権利が取得できなかったり、移籍の場合に元のチームに移籍金が支払われたりするのかなと。であれば、まあ理には適ってますかね。
では同じことを一般企業にも適用できるかというと、ちょっと難しいかな。そもそも転職先の企業がどこになるのか元の在籍企業には明かさないのが一般的ですし、明かしたとしてもそこで移籍金を支払うかというと難しい。移籍金逃れのために数カ月無職期間を挟んで転職するなんてことも横行するでしょうしね。
では企業は育成コストを負担しっぱなしになるのかというと、それを嫌う企業は既に育った中途採用のみに注力するようになるでしょうし、多くの企業がそうなってしまったら新人は誰に育成してもらえばいいんだって問題になってしまう。欧米などでは無給もしくは薄給のインターンで実務経験を積んでからようやくまともに就職するようになっているとかで、それはそれであんまり健全な感じではないですよねぇ。
受益者負担という意味では、育成コストの受益者は新人自身ですから、社会人教育学校のようなものを作って、そこでビジネスの一般常識を学ぶというようなのも一つの方法かもしれません。経団連とかは大学でそれをやれと言ってますが、学問の府である大学に求めることではないですよねぇ。
あとはまあ新人で育成期間中は給与テーブルや待遇が一般社員とは別扱いになるとか、その辺が落としどころかなぁという気もします。
ともあれ、これも一種のフリーライダー問題ではあるんですよね。一生懸命教育コストをかけた企業に対して、中途採用だけを行ってる企業が教育コストをフリーライドしているっていう。フリーライドする企業が全体として少ない分には社会として許容出来てきたけれど、雇用の流動化が進んだ現代ではだんだん許容できなくなってきたってところでしょうか。
(2023/11/22追記)
そういえば10年くらい前にノマドって流行りましたよね。サラリーマンやめてみんなフリーランスになってスタバで仕事しようってやつ。スタバは例だけども。
そういう働き方をするのは個人の好き勝手だからいいんだけど、出来るのって基本的に社会人として一定レベルに達した人だけなんだよね。新人はノマドやりたくても出来ない。誰かに一人前になるまで育ててもらわないと。
個人の選択としてノマドというのはありだと思いますが、社会全体がノマドになってしまうと次世代の育成が出来なくなってしまう。その点が全く考慮されてない自分勝手な論理だなぁと当時思ってました。これは現代のリモートワークでも似たようなものですかね。