電気代値上げは事実上の炭素税なのかも

2013/4/8作成

タイトルで言いたいことは完了という感じではあるんだけど、まあ補足としてちょっとだらだらと。

3.11の福島原発事故を起因として、日本国内では大飯を除いて原発が全部停止しました。全体の3分の1もの発電量があった原発が停止して何事も起きないわけがなくて、現状はその不足を火力発電をぶん回しまくって、それに加えて節電キャンペーンをしてなんとかやりくりしている状態なわけです。

それでも火力というのは単純に燃料費がかさむので(原発も廃炉と最終処分のコストを考慮すると高コストという話はあるけれど)電力会社としてはコストがきついわけですから、ここにきて電気代値上げということになっています。ものの値段は高いより安いほうがいいですから、当然ながら値上げには反対の声があがるわけです。実際、自分も自己の話としては値上げは大変なことだなぁとは思います。

ただ、これって大局的な観点からみると、それほど悪い話ではないのではないかなと思ったりもします。そう思う点は2点。

一つは、節電のモチベーションを経済原則で継続させることができる。ここ2年の節電努力は"善意に訴えかける"という手法で行われてきましたが、見返りの無い善意は長続きしません(実際には停電が回避されるという見返りはあるんだけど実感しにくい)。その善意を長続きさせるとストレスとなります。しかし、電気代値上げとなると、みんな自動的に節電するようになるでしょう。なんせ自分の財布に直結する話ですから。つまり節電のモチベーションを善意から経済原則に変更することができる。経済原則によるモチベーションは継続が容易ですしストレスも少なくてすみますから、これにより継続的な節電が実行できる可能性があります。

もう一つは、これは事実上の炭素税だなと言えることです。炭素税とはなんぞやというと、簡単に言うと二酸化炭素の排出量に課税することによって排出を抑制する税制のことです。二酸化炭素排出抑制の手段としてはわりと有効なのですが、当然ながら反対が大きくて容易には導入できません。しかし、電気代値上げを行えば、上述の通り経済原則によって節電が行われるようになりますから、発電の多くを火力発電に頼っている現状では二酸化炭素の排出も抑制されるようになるわけです。最終的に国庫に納税はされませんが、経済システムとしては炭素税と同様ではないかな、と。炭素税の目的自体が徴税額を増やすことではありませんから、納税されないことはここでは大きな問題はありません。

ということで、個人的には電気代値上げは大変だなと思いつつ、全体的にはいい面もあるんではないかなぁと思っている次第です。