またしても転職活動ネタです。ITの発達によって人々は多くの情報にふれることが出来るようになりました。それ自体は良いことのはずなんですが、情報が多くなり選択肢が増えたことで、かえって人々が不幸になっているんではないかなという気がしたので書いてみます。
転職活動に使えるツールはいくつかあります。昔ながらのハローワークもありますし、知り合いの伝手で紹介されることもあるでしょう。また、転職サイトや転職エージェントなどもあります。
転職サイトや転職エージェントに登録すると、ものすごくたくさんの求人情報が閲覧できます。こんなにたくさんの会社が求人を出しているなら、すぐに転職できそうな気がします。気のせいなんですけれども。なんでかっていうと、選択肢がたくさんありすぎるから。選択肢が少数なら、そのなかで一番良いものを選ぶのはそれほど大変ではありません。しかし、選択肢が多くなると、その比較だけでも一苦労です。ようやく頑張って選んだ選択肢はもちろん条件の良い求人なのですが、当然ながらその条件の良い求人には多数の求職者が群がります。平凡なあなたはその競争に勝ち抜けず不採用になりますが、一度良い条件を見てしまった為に、なかなか自分の条件を下げることが出来ません。最初からそんな良い条件の求人を見ていなければ気にならなかったものを、なまじ見てしまったがためにとらわれてしまうわけですね。あの求人より条件が良いものでないと応募したくなくなってしまうわけですね。
これは求人側でも同じことが言えます。応募者が次々やってきますから、本来なら条件を満たしてる人がいたとしても、もっといい人が応募してくるかもしれないから採用は見送ろうになってしまう。こうして応募者も採用側も永遠に青い鳥を探し続けてしまう。目の前に十分な幸せがあるのに目に入らなくなってしまうんですね。だって現実にハイレベルなものが流通しているのが目に見えてしまうわけですから。最初からハイレベルなものが見えなければ気にならなかったのに。
こうして、求職者も求人側もトップオブトップのみは理想をかなえられますが、それ以外の平凡な位置に居るものはいつまで経っても理想を追い続けてしまう。要するにIT化、情報化によって多くの情報に一度にアクセス出来るようになったことで起こってしまってるんですよね。村相撲ならそこそこ強かったのに、いきなり天下一武道会に出場させられてしまう。そこでチャンピオンにならないと無価値だと言われてしまう。実際には村相撲のチャンピオン程度でもその会社では十分に通用するのに、どうせなら世界チャンピオンが採用したいよねぇって言われてしまう。
別の言い方をすれば隣の芝生が青く見えるって話でもあるんですよね。隣との境界に塀があって芝生が見えないならそもそも気にしないで済む話ですが、見えてしまうから気になってしまう。そして現代はSNSや地図アプリなどによって世界中の芝生が同時に見えてしまう状況になる。芝生の世界一決定戦に参加してしまってるようなもので、どうしたって自分の庭の芝生よりも立派な芝生が目に入ってしまう。気にしなけりゃいいけど、目に入ってしまうと気になってしまう。ITによる情報洪水というのは、こういう点でも問題なのかなぁという気がした次第です。
(2024/1/16追記)
個人的にマッチングアプリは結婚を破壊したと思ってる。あれはマジで危険
— 風倉@こぴーらいたー作家 (@kazakura_22) January 11, 2024
男性の女性不信を凄まじい勢いで加速させ、女性の高望みと男性不信をこれも大幅に加速させる
つなぐメリットより、破壊のデメリットが強すぎると思う
これを言う人は今はまだ少ないが、自分はいう
絶対少子化の強い要因
なるほどなーと。このポスト自体は「ヤリモク詐欺男が生む男性不信」と「そんな男性に慣れた女性による普通の男性に対する蔑視による女性不信」という話をしてるんだけど、その根底には恋愛自由市場の不条理をマッチングアプリが加速させたという考えがあるそうです。
私は転職と結婚って似た要素があると思っていて、そういう観点からこの話にも納得のいくところです。転職市場にはヤリモク詐欺男ってのは構造的にはあんまり居ないんですけどね。しいて言えばウソ経歴で有名企業に潜り込んで経歴に箔をつける奴ですが、それは数としてはヤリモク詐欺男ほどには多くないので。
私もポスト主も、アプリ等で情報化されることで、もともと持っていた不条理が加速されているという点では一致しているかなと思います。マッチングアプリで結婚したという人ももちろんたくさんいるでしょうけれども、マッチングアプリで結婚に絶望した人はそれ以上にたくさん居るのに可視化されていないというのは確かになと思います。「絶対少子化の強い要因」は統計数値がないと何とも言えないけど、そういう事例が特殊例ではなく存在するだろうなというのは想像できますね。
(2024/1/30追記)
ちょいと思い出したのですが、最適結婚問題というものがあります。ぐぐったら今は安定結婚問題と呼ぶんですね。呼称になんか問題があったんだろうか。もしくは私の記憶違いかな。
ともあれ、安定結婚問題というものがあります。複数の男女が存在し、それぞれが一番いいと思う人とペアになっていき、全員が満足するペアになれるにはどうすればいいかというアルゴリズムの問題です。当たり前ですが、特定の一人の人に多くの人が求婚することは考えられますが、その際には求婚された人が一番結婚したいと思う相手とペアになります。あぶれた人は、残った人の中から一番良いと思う人に求婚してペアになっていきというのを繰り返していきます。つまり、言葉は悪いですが妥協をするんだけど、残ってる中では自分が一番望む相手とペアになれるということを保証するアルゴリズムです。
これを現実の結婚相談所で実装すれば、今いる会員は全員結婚できることになるのですが(男女の人数差の分のあぶれは出ますが)、実際にはそうなりませんよね。それは「ここまで妥協するくらいなら結婚しない方がマシだ」っていって独身を貫く人が一定数存在するから。
何が言いたいかっていうと「あなたにとって妥当なのはこのレベルですよ」って提示されても、それに納得できるとは限らないってことかなぁと。結婚相談記事でよくあるのが「普通の人でいいんですっていう人の普通は実は非常に理想が高い」って話がありますね。年収500万で長男でなくて清潔で浮気もギャンブルもしなくて借金も抱えてない普通の人がいいですと言っても、そりゃまそんな人はかなり上位層な気はしますよねぇ。そして、そんなハイスぺの人に見合うだけのスペックをあなたはお持ちなのですかと。その辺を諭して、釣り合う人と結婚するのがよいですよと仲人さんはいうわけですが、そんな妥協をするくらいなら結婚しませんってのも、それはそれで正しい判断な気もしますよねぇ。相手が誰でもいいから結婚というものをしたいというのなら釣り合うレベルに妥協すればいいんですが、それで幸せな結婚生活を送れるとも限りませんし。
話を転職活動に戻すと、結婚については結婚しないという選択肢が存在するんだけど、転職については転職しないという選択肢は存在しないんですよね。現職を続けるという選択肢はあるんですが、それも含めてどこかの会社で働かなければならない。会社に所属するのがいやならフリーランスになるなり起業するなりしなければならない。働きたい環境がないからといって働かないという選択肢はないわけです。なぜなら食っていくためにはお金が必要で、働いてお金を稼がないといけないですからね。資産家だったりとかで働かなくてもお金に困らないならそれでいいんですがね。もしくはハードワークしてお金を貯めてFIREするとかも、まあ選択肢の一つなんですが。
ということを考えると、転職においては「普通の会社でいいんですといいつつハイスぺ会社のみを志望する」ってのはやってはいけなくて、自分のレベルを自覚して、入れる会社に入るというのが妥当なんですかねぇ。なんかちょっと夢がない感じの話になっちゃいますが。
(2024/1/31追記)
なんか追記してるうちに話がとっちらかってきてしまった感がありますね。気が向けばどっかで整理しなおしてみたいとは思うのですが、多分気が向かない。
それは置いといて理想が高い点についてちょっと補足。あくまでも一般論ですが、その理想は本当にあなたの理想ですかって話ですよね。年収はそりゃ高い方がいいでしょうけれど、本当に求めているのはそれですかと。実は世間の婚活情報に惑わされているだけじゃないですかと。婚活を成功させるには、そういう思い込まされている情報を順番にはぎ取っていって、実際に自分が何を欲しているかを見つめなおす作業をしなければならないわけですよね。
これは転職活動も一緒で、安定した大企業とか福利厚生とかいろいろ条件をあげて転職活動するんですが、その条件は本当にあなたにとって必要なことなのですかと。世間で言われてるからそんなもんだろうと思ってるだけじゃないですかねというような問いを重ねていって本音を探っていく作業が必要なんですよね。それを自分でやるなら自己分析ってことなんですが、自己分析は最初に1回やったらおしまいじゃなくて、何度も何度も繰り返しおこなって自分の心の深層に潜っていかないといけないんですよね。そうしないと、表層的な条件に合致しただけの会社に転職してしまって、なんか違うなと思ってまた辞めるを繰り返すことになってしまう。ええ、私のことなんですがね。
うーん、補足しなきゃと思って書き足してみたけど、さらに話がとっちらかっただけになってしまった感じがするね。まあいいか。気が向けば整理して書き直します。