最初にお断りしておくと、私はマネージャーとして働いた経験はありません。マネジメントを学んだこともありません。あくまでも現場でメンバーとして働いていて、このマネジメントいまいちだなぁと思った経験談にしかすぎません。多分マネジメント学的なものでは体系的に整理されている事項だとは思いますが、ひとまず経験談として書きだしておきます。
現場でよくあるマネジメントって、各タスクの工数を見積もってメンバーに割り当て、工数からスケジュールをひいていくというものです。これ自体はいいんですよ。というか、それすらしてない現場もたくさんあって、それに比べればはるかにマシではあるんですよ。ただ、問題点はスケジュールをひいたところで満足してしまうんですね。
こういう現場で何が起きるかというと、進捗確認のミーティングで遅れが出てると「なんで遅れてるんだ。1週間で出来るって言っただろうが。お前はウソつきか。」という吊し上げが行われるんですね。詰められたメンバーは怖いので、とりあえずその場限りの言い逃れとして、次のスプリントで巻き返しますと言わざるを得ません。前スプリントからの積み残しと、もともとあった現スプリントのタスクが合わさってきますから、こなせるわけがありません。次の進捗確認ミーティングではもっと遅れてもっと詰められるの繰り返しになります。なんとか巻き返そうと思うと徹夜休出のブラック労働にならざるを得ませんし、詰められ続けて心を病んで辞めていくメンバーも出ます。とてもよくある光景です。よくあってはいけないんですが。
これは別にメンバーがサボってるわけでもなんでもないんですね。実際に作業に着手してしまうと、どうしたって想定外のことが出てくるんですよ。ホリエモンなら全てのことは想定内なのかもしれませんが(我ながらネタが古いな)、ホリエモンではない凡人としては全てを想定することは出来ません。想定外のことが起きるとどうしたって工数は余計にかかりますよね。メンバーの責務としても自分のタスクについては想定外の工数を見込んでおくべきではあるんですが、マネージャーはプロジェクト全体としての想定外の工数見込みはしておくべきだと思うんですね。でも前述のスケジュール遅れを詰めることしかしないマネージャーは、想定外の事態を見込まない。だからスケジュールがだだ遅れになっていってしまう。
天下りでやってきたマネージャーはともかく、大抵の現場ではマネージャーってのは現場での経験を豊富に持っています。その経験を見込んでマネージャーに就任してるわけですからね。であれば、メンバーよりもマネージャーの方が想定外の事態に対する予測も出来るはずなんですね。それが経験というものですから。想定外の事態も予め予想できるのなら想定内ですし、想定内なら工数を見積もることも出来ます。予想が出来ないけど、工数だけ見積もっておくことも出来ます。バッファとか予備日って奴ですね。しかし大抵のマネージャーは予算や納期の都合で、予備日から削っていってしまって、ウルトラスーパーミラクルに想定通りにうまくいった場合にのみ成立するスケジュールをひいて満足してしまう。
というような感じかなぁと思ってます。こんなことを書いてるからって、私がマネージャーになればうまくやれるとは思って無いですけどね。知ってても、それを実践できるとは限りませんから。それでもまあ、知らないよりは知ってる方がうまくやれる可能性は高くなるので、こうして書き出してみた次第です。
(2023/2/8追記)
こういうネタって書き出したら止まらなくなってしまうもんなんですが、一つ追記を。それは帰還不能点を定めるべきということ。本来の意味での帰還不能点とはちょっと違ってくるんですが。
どういうことかというと、途中時点で諦めるポイントを定めておいて、もしも到達できていない場合はちゃんと諦めることをして欲しいという事。よほど小さなプロジェクトでもない限り、プロジェクト内に中間チェックポイントがいくつか設定されるものです。そしてそれぞれの目標期日もありますね。中間チェックポイントが目標期日内に出来上がっていれば想定通りの進行です。もしも遅れが出ていた場合、そのままでは本来の完成期日には間に合わない。このままでは間に合わないから納期を伸ばしたり仕様を削減したりしないといけないんですね。つまりこれを帰還と言えるのではないかと。
しかしまあ、大抵のプロジェクトではこの帰還不能点を過ぎてしまってもそのままプロジェクト続行するか、せいぜい人員追加投入されるだけで、納期は動かないんですよね。そりゃま炎上するのも当たり前ってわけで。