FAXのいいところ悪いところとDXでFAXはみんなが目にすることが出来るメリットがあると書きました。これ、結構重要な構造的問題じゃないかと思っています。
みんなで共有できるデバイスの例としては、FAXの他に代表電話とか郵便などがあります。これらのデバイスはオフィスにいる人なら誰でもアクセスすることが出来ます。実際には総務の人が電話担当や郵便物係になってたりするわけですが、総務の人が不在なら他の人が代わりにアクセスするのに何の問題も無いですね。総務の人が退職しても、内部では担当の引継ぎは行いますが、対外的な連絡などは一切不要です。
一方、近年台頭してきているのが携帯電話、メールなどのツールです。これらのツールは基本的に個人に紐づいています。会社でも最近は代表電話を廃止して、担当者の携帯電話に直接連絡してくださいってしているところも増えてきましたね。いちいち代表電話に電話して担当者に繋いでもらわなくて済みますし、外出時にも繋がりますから便利なんですが、その担当者が不在の時は別の人に代わってもらうということが出来ません。個人に紐づいたデバイスですから。更に、担当者が退職してしまうと、どうやって連絡を取っていいのかも分からなくなりかねません。電話しても「この電話は現在使われておりません」になっちゃいますからね。代表電話が残っていればそちらにかけますが、廃止されていたら問合せフォームから問い合わせるくらいしか方法が無くなってしまう。
メールというのも、そういう意味では不便なツールです。個人に紐づいていますからね。フォームからの問い合わせ内容は担当者全員にメールで転送して社内で共有しているところは多いでしょうが、これだけだと会社からの返信などのその後のやり取りは共有できないんですよね。メールはあくまでも個人と個人のやり取りのツールですから。問い合わせ受付のシステムを導入することで解決できなくもないんですが、メールだけではなかなかうまい方法はない。また、問い合わせる側も実は会社やチームだったりするんだけど、こちらも担当者個人に紐づいていると共有がひと手間掛かってしまう。
何が言いたいかというと、デジタル化だDXだといって代表電話やFAXを廃止してメールなどに置き換えていますが、今まで出来てたことが出来なくなって不便になってる部分もありますよねってことです。だからっていつまでもFAXを使えって話では無くて、今までのツールが持っていた特性を理解して、必要な特性はちゃんとカバーできるようなツールに置き換えていく必要があるんじゃないかなということです。デジタルなツールに置き換えれば何でもいいってもんじゃないですよねと。