なぜかやり玉にあがりやすい三角関数

2022/5/23作成

三角関数は学びたい人だけでいい?日常生活で使う使わないを基準にすべき? 維新議員の問題提起から考える

「社会に出てから使わない三角関数なんて学ぶのは無駄だから他のことを教えろ」というご意見で、これ何回目なんでしょうね。繰り返し話題になっていると思いますが、そこでいつもやり玉にあがるのって三角関数なんですよね。個人的に、ちょっとそこにひっかかったので適当に書き散らしてみます。

いきなり余談からですが、私自身は新卒から10年ほど3DCGプログラマをしていましたので、社会に出て実際に仕事で三角関数をバリバリ使ってました。まあ、自分がレアケースだってのは自覚してますけどね。実際ほとんどの人は学校以外で三角関数を使うことはないでしょう。

ただ、では他の学校で学んだことは全部社会に出てから使うかっていうとそんなことはないんですよね。数学で言えば微分積分だって99.9%の人は使わないでしょうし、夏目漱石の「こころ」だって社会で必須の知識ではない。でも微分積分も「こころ」もやり玉にはあがらない。いつも三角関数。そこんところが不思議だなと。

もひとつ余談をすると、私が高校生だったときは三角関数は理系だけの選択科目だったような気がします。文系も含めた全員が必修だったのは三角比まで。まあ、カリキュラムは変化しますから、くだんの議員さんの頃は三角関数が必修だったのかもしれませんし、三角比でもsin/cos/tanは使いますので、それが三角関数だと誤解するのもわからんでもないんですが。

これはただの推測ですが、三角関数をやり玉に挙げる人って、その人が高校生の時に三角関数(実際には三角比)で躓いたってことなんじゃないですかね。同じく社会に出ても役に立たないとも言われてる二次方程式の解の公式は、あんまりやり玉にあがらないのは大抵の人がクリアしてるからじゃないでしょうか。高校生の時に理解できなくて苦労したのに、実際に社会に出てみたら使う機会がなかったじゃないか。っていう私怨なんじゃないかなと。まあ、その気持ちはわからんでもないですが、国会議員さんが国の政策として私怨を提議するのってどうよとは思いますね。

という私怨はおいといたとしても、提案自体はわからんでもないです。三角関数に限りませんが、世の中で学んでおいた方がいいことはたくさんあります。ネットでは何か問題が起こるたびに「そんなことは義務教育で教えておけよ」の大合唱です。でも学ぶ時間は有限です。小中高の12年間で学べることって限られますから、そこに何を詰め込むかって取捨選択は大事ですよね。そして、その選択指針として、果たして社会に出て役に立つことだけを基準としていいのかって問題もあります。学校は企業社会の予備校かというと、そうではないはずですよね。予備校の部分もあってもいいとは思いますが、それが全てでは困る。

では学校で何を学ぶべきものかってのを検討したうえで今のカリキュラムって出来てると思うんですよね。もちろん今がベストってわけでもないでしょうし、時代と共に変化することもありますから、常にカリキュラムの見直しは必要です。でもそれが私怨であったりとか、自分の業界への我田引水であったりとかってのは困ったものだなぁと思います。