例によって1ミリも調べることなく、妄想だけに基づいたことを書きつられます。とりあえず現時点で自分が思ってることを書き出すだけで、この先気が向けば具体的に調べていって考えを整理していくかもしれません。しないかもしれません。
議題は、なぜSuicaが負けるかってことです。Suicaというか、Suicaの採用してるFeliCaがですね。負けると決まったわけでもないのですが、このままいったら負けるだろうなぁと。iモードが世界を制覇できなかったように、FeliCaも世界を制覇できない。それはまあ欧米による日本潰しなのかもしれないけど。最後に日本発の規格で世界制覇したのってCDとDVDあたりですかねぇ。この辺も事情にうといので、実際には他にもあるかもしれませんが。あと、Faricaが負けても代わりに世界制覇するのがNFC Type A/Bだったらまだ非接触技術なんでいいんですが、QRコード決済が世界制覇したら個人的にはやだなぁと思いますが、まあそれもこの記事の本題から離れるのでおいといて。
ともかく、FeliCaが負けるとしたらなんで負けるか。Suicaがなんで世界制覇できなかったかっていうと、これはSuicaがJR東日本によるものだからだと思うんですよ。なんでJR東日本だとダメかっていうと、一つはJR東日本が鉄道会社であること。もう一つは国策によって分社化され、自由な営業活動に対して厳しい法律上の制約が課されていること。この辺は同じく規制の厳しいNTTにも言えることですね。ifの話ですが、NTTが分社化されず規制も厳しくなければ、NTT発の技術で世界を席巻していたものはいくつもあっただろうなぁとも。国内市場だけをみていた政治家と官僚のせいで、ってのもまあこの記事の主題から離れるのでおいといて。
本題に戻って、JR東日本が鉄道会社であることによるダメな理由。要するに鉄道会社なんで、社内の全ての仕事の目的は鉄道を走らせることに帰結してると思うんですよね。今でこそ経営多角化で様々な事業を行っていますが、駅ビル運営にもしても不動産開発にしても旅行会社にしても、結局は鉄道を走らせることに帰結している。それ以外のこともやろうとするんでしょうけれど、社内では多分モチベーションわかないでしょうし、鉄道のことしか考えてない上司や役員に却下されるってことも多々あったでしょう。
Suicaが買い物の決済にも使えるようになったとき、最初に展開されたのは駅ビルや駅構内のキオスクなどでした。彼らの発想の中には、鉄道の利用者の利便性を高めて、もっと鉄道を利用してもらおうってのがあったと思うんですね。あとはまあ現実的な理由として、もともと取引関係にあるこれらの事業者に営業を掛ける方が容易であっただろうというのもあるでしょう。ここで郊外のショッピングセンターにSuicaを導入してもらうように営業かけようと思っても、そもそも伝手がないから営業難しいですし、「そんなところに営業掛けて、うちの会社に何のメリットがあるんだ。うちは鉄道会社だぞ」っていって却下した上司は数え切れないくらい居たんじゃないかと思うんですよ。
あともう一つは、鉄道が主業務ですから、社内でも鉄道に携わっている人が主流になっていると思うんですね。入社する人も、全員が全員運転士になりたくてってわけではないでしょうけれど、大なり小なり鉄道に関わる仕事がしたくて入ってるでしょうし。だから、Suicaの事業に配属された人は傍流感を感じてるでしょうし、なんなら毎年鉄道部門に移動願いを出してる人もいるだろうと思うんですね。そんな状態でSuicaをもっと便利にしよう、もっと普及させようなんてモチベーションはわかないですよね。頑張ってる人には失礼な話になっちゃって申し訳ないんですが。
もう一つ、JR東日本が規制を受けていること。営業区域の規制を受けてますから、他の鉄道会社にSuicaを導入しませんかって営業できないんですよね。多分。まあ、営業されたところで他社もプライドあるからそんなもん導入できるかってことになるんでしょうけれど。一応、東京モノレールなど、Suicaを導入してるところもありますが、こちらはJR東日本のグループ会社ですからねぇ。
結果として、全国の鉄道事業者がそれぞれ別個にFeliCaカードを導入することになった。技術的には同じものなのに、サービスとして別々のものを立ち上げたわけですね。一緒にやれば手間もかからずコストメリットもあったしユーザの利便性も向上してたのに、大人の都合でそれぞれ別個にやることになってしまった。今でこそほとんどの交通系電子マネーは相互利用出来るようになっていますが、ここにいたるまで結構年月かかってるんですよね。相互利用できるまで、旅行などで遠隔地に出かけたら、せっかく地元のFeliCa電子マネー持っていても、当地ではいちいち切符買ったり当地の電子マネー買ったりしなければなりませんでした。これによって失われた時間は膨大ですよね。最初から共通化してればもっと普及していたかもしれないのに、せっかくのビジネスチャンスを失ってしまった。
とかとか考えると、Suica事業をJR東日本の社内でやってるメリットってないと思うんですよ。鉄道事業者によるアイデアだから自動改札で実用になる高速な決済という便利な仕様になったというメリットはありますが、商品化出来た時点で早期に電子決済専門企業に子会社化しておけばよかった。なんならJR東日本との資本関係も最低限にしておけば、他の鉄道事業者が容易に利用できたでしょうし、海外に進出することも身軽に出来た。今からでも分社すればいいとは思うんですが、20年もの時間をロスしてチャンスを失ってしまいましたから、Suicaが今から挽回して世界制覇するのは難しいんじゃないかなぁという気がしてます。残念なことですが。
(2022/6/30追記)
QRコード決済に完敗した「Suica」 ICカードの運命、今後どうなる? そもそもなぜJR東日本の半分の駅でしか使えないのか
Suicaが完敗という刺激的なタイトルになっていますが、実態はそこまでではありません。取引高でSuica等の非接触電子マネーの6兆円に対して、QRコード決済が7兆円と上回ったとのことです。まあ、上り調子のQRコード決済に対して、よくて横ばいのSuicaですから、今後逆転することはないでしょうし、差は広がる一方なんでしょうね。インフレやキャッシュレス決済全体の伸びによってSUicaの取引高が一時的に増えることはあるかもしれませんが、長期的には減少傾向。それでも消滅までは10年か20年はかかるでしょうけれども、いつかは消えてなくなってしまう運命なのでしょうね。残念なことですが。
記事ではSuicaが普及しなかった理由として、端末の設置コストが高いことを指摘しています。なんせ旗振り役のJR東日本自体が駅の半分程度にしかSuica改札機を導入していないと。それはちょっとびっくりですね。もうちょっと多くの駅に設置してるもんだと思ってました。
Suicaは日本の大都市の過密輸送に耐えられるように設計されたとのことです。その性能は、小売店の店頭での決済程度の用途には過剰な性能だったということなんですかねぇ。ただ性能が過剰なだけならいいんですが、その過剰な性能を実現する為に高コストとなっているのであれば、普及しないのもやむをえないのかもしれません。また、Suicaが登場したのは2001年。当時は今と比べればネットワークもサーバの性能も段違いで低かったです。そのために端末側でやらなければならないことも多いという事情もあるのかもしれません。現代の高性能になったインフラを前提として端末を簡素に実現するというのは、時代にあった選択と言えるのかもしれません。それにしてもなぁと個人的には思いますが。