なぜ開発者のPCは貧弱になるのか

2021/3/21作成

ネットで意識高いエンジニアの方が「これくらいのPCスペックは人権」と叫んでいると、一方で「うちはこんな低スペックPCで働かされてます」って社畜エンジニアの方のコメントが出てきたりします。なんでこういうことが起こるのかなとちょっと考えてみました。

そもそもですが、PCの値段って随分と安いんですよね。意識高いエンジニアの人のいう人権のあるPCでも、実際には20万から30万円程度あればだいたい買えますよね。一方、人件費は結構高いです。安い賃金でこき使われているエンジニアでも、年収で300万円程度は支払われています。フルタイムで働いていてそれ以下だと最低賃金を割ってる違法労働の可能性があるので、ちょっと別の議論になるかと思います。

支払われる賃金が300万円だとしても、会社は他にもコストを負担しています。社会保険の会社負担分もありますし、総務経理などのバックオフィスの負担分もあります。コロナで在宅勤務が増えましたが、オフィスで働いていた頃はデスクとイスもですし、そもそもオフィスの家賃もあります。よく言われるとおり、会社は社員を雇用してる際に、賃金の2倍から3倍程度のコストをかけています。

そんな年間数百万円かかる高コストなエンジニアの生産性が20万円程度のPCをあてがうことでアップするなら、あてがった方が会社は得ですよね。でもそうはしない会社も多い。なんでかなと。

こっから先は単なる想像ですが、結局は知らないからではないかなという気がします。PCといえば、今時は3万円程度でもとりあえず動く物が買えてしまいます。それ比べれば20万円のPCは高く感じますよね。3万円のPCでも頑張れば仕事が出来るなら、なら頑張ればいいじゃないかと。頑張るってのが、単なるやる気の問題だと思われている。道具を使って物を作ってるわけではない人には、道具によって生産性が変わるということがイメージが付かないのかもしれない。もしも組み立て工が電動工具を支給してもらえなくて手回しのドライバーで組み立てないといけないとしたら、工場の生産性はものすごく下がりますよね。さすがにそれを知らない工場の管理者はいないと思うんだけど、ソフトウェアエンジニアの管理者には知らない人がまだまだたくさんいるのかもしれない。

ということで、知らないなら教えてあげればいいのかもしれない。管理職としてそれくらい知ってるのが職能だろうと思わないでもないんですけれども、人間誰しも完璧ではないですからねぇ。単に社内政治の結果として畑違いにやってきた管理職なら知識なくてもしょうがないし。とはいえ、教えないエンジニアが悪いっていうわけでもないんですけどね。ソフトウェア開発の現場についてはまだまだ理解が進んでない部分もあるでしょうから、今後理解が進んでいくといいですね、っていうような話はもう何十年も前からされてるような気もしないでもないですけどね。そもそもソフトウェア産業だって、何十年も歴史がありますから、昨日今日の新興産業ってわけでもないですしね。