コミPo!というソフトを使ってみました。体験版をほんの少し触っただけではありますが、少々衝撃を受けたのでファーストインプレッションを記しておこうと思います。
コミPo!は絵が描けなくてもマンガが作れるソフトです。登場した頃にたけくまメモで読んだので存在は知ってました。田中圭一制作総指揮のマンガ作成ソフト、なし崩しで情報公開へ!とか早速、コミPoで傑作が!とかの紹介記事ですね。ただ、自分自身がマンガを作ることはないと思ってたので、まあそういうソフトもあるんだねというくらいの捉え方でした。でもちょっときっかけがあって、今回触ってみたと。
たけくまメモでは「これはマンガの初音ミクだ」とあります。なるほど、そういう捉え方もあるか。別の言い方をすると、マンガのカラオケ化とも言えたりもするかもしれません。最近、このカラオケ化という考え方が気に入ってるんですよ。ただ、初音ミクと同等かというとちょっと微妙な気もする。初音ミクは新しい楽器だったので、その可能性を追求した新しい楽曲が多数作られてボカロというジャンルまで生みました。一方、コミPo!はソフトとしては新しい概念ですが、作り出される作品は今のところ従来のマンガの範疇を超えるものではないのではないかなと思います。まだ私の理解が足りてないだけかもしれませんが。
さて、コミPo!を使えば誰も簡単にマンガが描けるかというと、描けるとも言えるし、描けないとも言えるかな。以下、コミPo!を使ってマンガを「描く」というのに躊躇がありますので、「作る」ということにします。
絵は確かに思い通りのものが作れます。それもかなりお手軽に。3Dモデルの素材集ってありますし、それを入手して3DCGソフトに読み込んでポーズを付ければ好きな絵を作ることは出来ます。でも3DCGソフトって操作だけでも難しいんですよね。ポーズを思い通りに付けるのって、モデルがちゃんと作り込まれていても難しい。でもコミPo!ならかなり簡単です。ポーズもメニューから選ぶだけ。表情も選ぶだけ。3DCGソフトなら目や口やほほなどをひたすら微調整して動かさないと表情変えれませんが、そんな手間は一切なし。当然自由度は下がりますから、どんな絵でも作れるとは言えませんが、それでもかなりいろいろな絵を作り出すことが出来る。
そうやって簡単に絵は作れます。でも、どんな絵を作りたいかって考えるのは結局ユーザ自身なんですね。そこを考えられないと絵が作れない。そしてマンガとなるとストーリーがあるわけです。ストーリーはコミPo!が勝手に作ってくれないので自分で考えないといけない。だから、コミPo!で簡単にマンガが描けるとも言えるし、描けないとも言える。
例えばカメラと近しい位置づけかもしれません。カメラを使えばシャッターを切るだけで見たものをそのまま写真にすることが出来る。でも、どんな写真を撮るか、構図は、ライティングは、ポーズは、と考えるのは結局はカメラマン。でも出来上がった素材をシャッター一つで切り取ることは出来る。写実的な絵を描く必要は無い。写実的な絵を描く時間を省けるのがカメラ。コミPo!も似たようなものでしょうかね。
ではコミPo!は意味がないかっていうと、もちろんそんなことはない。コミPo!を使って本格的なマンガを描くことだって多分出来る。でもそのためには原稿用紙にマンガを描くのと、ある意味変わらないくらいの時間をかけないといけないかもしれないですけどね。マンガって絵を描いてる時間だけじゃ無いですからね。少なくともネームにかかる時間は原稿用紙でもコミPo!でも変わらない。機能の制限が強い分だけ、マンガが本格的になるほど逆に苦労が大きくなるかもしれませんね。
また、逆のベクトルとして、素人がちょっとしたマンガを作るのにも使える。このサイトの記事などもそうなんですが、文章だけってすごく見るのが辛いんですよね。ちょっと間に絵や写真が入ってると、目が楽になる。だからアフィリエイトブログでは素材集の写真を脈絡もなくバンバンと挟み込んでるわけですが。でも結果的にそれで見やすくなっている。パワポのプレゼン資料などでもそうです。内容としては変わらなくても、文字だけのプレゼン資料より、いらすとやのイラストが入ってるだけで、ぐっと見やすくなる。いらすとやは普及しすぎてどこでも見かけるというのと、言っては何だけど2次元のイラストなので自由度が低い。基本的にはそのまま貼るしかないわけです。でもコミPo!なら、3Dモデルを組み合わせて絵を作るので、いらすとやのイラストを貼るよりは大変だけども、自由度は遙かにあがる。それでいて一からイラストを自分で描くよりも早くできるし、絵が描けない人でもとりあえずそれなりの絵が用意できるようになる。
結局繰り返しになりますけど、マンガのカラオケ化と言っていいと思うんですよ。コミPo!によって火の鳥とかポーの一族みたいな頂点の傑作が描かれるかというと、それはちょっと難しい。絶対にあり得ないとはいいきれませんけれども。でもピラミッドの裾野を大幅に広げることは出来る。一部の評論家さんは駄作が大量生産されることに嫌悪感を示すかもしれませんが、やっぱりピラミッドの裾野が広い方が頂も高くなると思いますので、コミPo!でみんなマンガを作りまくるといいと思います。私もこのあと超絶駄作となるでしょうけれど、なんとか作ってみたいと思います。可能なら、このサイトの記事を書くときに、コミPo!でマンガも作って載せられるといいなぁと思います。なかなか大変だとは思いますが。
まあ、その前に体験版ではなくてソフト買えって話があるわけですが、これが超絶安いんですよ。なんと800円(税別)。私、最初見たときはこれは素材の値段でソフト本体はもっと高いと思ったんですが、これがソフト本体の値段なんですね。10周年で特別価格になったそうですが、期間限定でもなさそうなので、今後もずっと800円なんでしょうか。それで利益は出るのかな心配になりますが、大丈夫なんでしょうか。ソフトを安く売って普及させて、素材集で利益を出していくのかな。ともあれ、こんなに安ければ躊躇無く買えますので、このあとソフト本体も購入したいと思います。はい。
コミPo!の「すべてのひとにマンガ表現を」というキャッチフレーズ。とてもいいと思います。そういう世の中になっていくといいですね。
(2021/2/7追記)
ということで、試しにコミPo!でマンガ作ってみました。内容はほんとにひどいのでそこには目を瞑っていただくとして。。。
ここまで作るのに、かかった時間は30分くらいでしょうかね。操作に迷うことも無かったですし。強いて言えば10年前の設計のソフトということもあってか、ユーザインターフェイスが少々煩雑になっているようには感じました。機能的にはいいと思うので、ユーザインターフェイスが現代風に一新されるともっと使いやすくなりそうですね。