なんでみんなExcel大好きなの問題

2021/2/4作成

Excelディスりです。というかExcel大好きな人ディスリです。ちょっと毒吐きかもしれません。すいません。

Excel批判というとExcel方眼紙ですが、ここではそれは扱いません。もちろんExcel方眼紙もどうかと思うんですけどね!セル結合しまくってるのとか。まあそれはともかく。

今回書きたいのは、タスク管理にExcelというか表計算ソフトを使うこと。仕事してて、複数のタスクに分けて、それぞれの進捗状況とか問題報告とかをまとめておき、完了したタスクは完了扱いにしいくと。そして残ったタスクを眺めて全体としてどういう状況になっているか確認するという作業があるわけですね。そして、そのための専用ソフトも多々あります。歴史も長いです。バグ管理システム/バグ追跡システム(BTS)というのがそれに相当するのですが、BTSの一つであるBugzillaが発表されたのは1998年のことです。その後もタスク管理ツールは商用/OSSで多数発表されていますし、最近ではSaaSとして提供されているものも多い。当然ながら専用に開発されているツールなのでタスク管理に便利に出来ているのです。しかし、これなかなか実際の現場で活用されてないような気がする。

私は流しのプログラマをしているのであちこちの現場を渡り歩いているのですが、タスク管理に専用ツールを使っている現場って少ないです。それだけITレベルの低い現場を渡り歩いてるのはお前の実力がその程度だからだろうと言われれば、まあそれまでなんですが。

そういう現場でタスク管理を何で行っているか。さすがに記憶に頼ってるとか紙の台帳管理してるところはありませんが、ほとんどの現場で使われているのは表計算ソフト。つまりExcelですね。もしくはクラウド化されていてGoogleスプレッドシートを使っているか。ともあれ表計算ソフトが使われてます。

表計算ソフトでタスク管理する場合、1行1タスクになっていて、最初の方のカラムにタスクの内容が書かれてる。ちょっと気の利いた現場だとタスクの起票日とか担当者のカラムもあったりする。詳細カラムで担当者やリーダーがコメントで状況をやり取りします。その発言をいつ行ったかはコメントの末尾に発言者が手動で日付を記入します。最終的にタスクが完了したら行全体の色をグレーとかに変える。そんな感じ。

当たり前ですが、そういうタスク管理をするために専用に設計されたのがタスク管理ツールなんです。最近のタスク管理ツールではカンバン機能があったりとかして、スクラム開発などで活用できるようにもなっています。当然ながらExcelタスク管理ではカンバンなんて使えません。でもなぜかみんなExcelが大好き。

現場によっては、リーダーがちょっと頑張ってタスク管理ツールを導入することもあります。でも結局この手のツールってチーム全員が使いこなせないと意味が無いんですよね。当たり前ですが。チームの中にタスク管理ツールを使いこなせない人がいると、結局情報が入力されなくなって廃れていってしまう。なんなら導入を指導したリーダー自身が使いこなせなくなって、率先してExcelタスク管理に戻っていくこともある。

なんでそうなるんだろうなぁと思った時に、一つは「Excelなら使える」というとっつきやすさなのかなという気がしました。もちろんここで「使える」と思ってる人にとってのExcelとは方眼紙ソフトとしてのExcelなんですけどね。本来のExcelは表計算ソフトであって様々な計算を自動で行うことができるのが売りなんですが、まあそんなことは気にされていない。とにかくExcelだと「いつもの画面だから安心」と思えてしまう。

これは私が実際に経験したことなんですが、とある現場ではタスク管理にRedmineが導入されていたのですが、リーダーの方がこれに馴染まなかった。なので定例ミーティングの前になると私はタスク一覧をCSVでエクスポートしてExcelに読み込んでリーダーに渡すというのが定型業務になってました。正直「くたばれ老害」って思っちゃいますが、まあそんなもんですよね。

ディスっただけでは生産的ではないので老害側にたってみて考えてみると、始めて導入されるタスク管理ソフトの画面って誰しも初めて見るわけですよね。見たことのない画面、見たことのないメニューやボタン。タスク、アサイン、ステータスなど初めてみる用語もいっぱいある。怖い!こんなのやだ!Excelがいい!ってのも、まあ気持ちとしてわからんでもない。一つ一つを紐解いていけば、結局はExcelタスク管理とやってることは同じなんですが、まあ人間ってのは基本的に保守的な動物ですから、初めてみるものに嫌悪感を抱いてしまうのも無理はないかなと。

(2021/2/6追記)

ディスって終わってしまいましたが、ディスってるだけでも生産的でないので、もうちょっと前向きというか、別のベクトルで考えてみたいと思います。

そもそもこれってExcelタスク管理に限った話でもないんですよね。社内SNSとか社内勉強会とか、新しいツールや仕組みを導入しようとしても、なかなかそれに乗ってこないスタッフが居て仕組みが定着しないってのはあるあるでして。

とはいえ、どんな頭の固い昭和社員でも、それでしかダメだってルールになると従うんですよ。例えば今日からタイムカードの打刻機は廃止になってウェブ打刻になりますとします。ウェブ打刻でないと勤怠として認められないとなれば、昭和社員だってしぶしぶながらウェブ打刻するわけですよ。だって給料もらえなくなってしまいますからね。若手社員に代理で打刻させるツワモノもいるかもしれませんが、さすがにタイムカードだとないですかね。メールとかITシステムの場合は若手社員にやらせる昭和社員の話はよく聞きますが。

結局、代わりの手段があるかどうか、強制力があるかどうかってのは大きいと思うんですね。タスク管理はやろうと思えば口頭とメモだけでも出来てしまう。なら怖い変なツールなんて使わなくていいじゃんとなる。社内SNSもそうですよね。他の部署の人と話がしたければ内線電話すればいい。相手が迷惑がっていても知ったこっちゃないと。

タスク管理ツールを導入するとき、それ以外の使用は禁止するとか、もしもタスク管理ツールを使ってないことがわかれば懲罰だとかすれば、昭和社員もすんなり使うでしょう。問題は経営陣がそこまでの覚悟がなくて、現場のみんながやりやすいようにとか言って逃げてしまうことですかね。まあ、上位下達でツールを無理矢理押しつけたら現場のモチベーション下がるという問題もあるんですが。

あとは、それが増えるタスクだってのも問題でしょうね。社内SNSにいっぱい投稿してノウハウを共有しましょうと言ったって、書くのも読むのも今までの業務にプラスして行わなければならない。それだとめんどくさがってやらない人はやらないでしょうねぇ。

というようなあたりが新たなツールを導入しても社内に根付かない理由かなと思うので、導入するときはこれらをふまえて考えないといけないのかなぁというように思います。

(2024/7/25追記)

Excelをディスって専用ソフトを持ち上げましたが、少しだけ Excelおじさんにも寄り添ってみましょうか。

Excel の良いところの一つは白紙の状態から始められることでしょうか。そこにイチから自分で作っていくので、それを作っているおじさん自身にとっては非常に理解しやすいと思います。なんせ全部自分で作っていますからね。もっとも、そのおじさんが作っているというコストを負担させられている会社としてはたまったものではありませんけどね。あと、おじさんが作ったオレオレExcelをチームのみんなが更新させられるという地獄もあったりしますけどね。チームのメンバーにとっては自分で作ったものではないので、おじさんExcelも専用ソフトもどっちも使いにくいです。それならまだ専用ソフトの方がマシなんだけど、おじさんExcelを使わされるという。辛いですよね。ああしまった、寄り添うつもりがまたディスってしまった。

もう一つ、これはちゃんと寄り添いますけど、Excelの利点は一望できることかなと思います。専用ソフトはソフトによりますけど、大抵は一覧画面と詳細画面に分かれています。一覧画面でタイトルなどの情報から対象のデータを見つけて、クリックするとそのデータのみの詳細が表示されるというのが一般的でしょう。この仕組みだと詳細を見るのにいちいちクリックしないといけませんし、複数の詳細を同時に表示して見比べるということが出来ません。でもExcelなら出来るんですよね。最初から全部表示されているから。いちいちクリックしなくても最初から詳細情報も表示されていますし、複数の詳細情報を見比べることも問題ない。ただ、引き替えに大きなモニターでないと一覧性が低いってことになりますけれども。