これってIT業界も全く同じじゃねえ?あるいは何故デカイ店のコックは育たないか
上の記事をものすごく乱暴に要約すると「でかい店のコックは仕事が出来ない。小さな店のコックは仕事が出来る。IT業界も一緒ででかい会社のSE・プログラマは仕事が出来なくて、小さな会社のSE・プログラマは仕事が出来る」というものです。
最初読んだときは、ふむふむと思ったのですが、しばらく考えてみて「なんか違うんではないだろうか」とおもったので、以下違うと思った点を書いてみます。
違うと思った点をこれまた要約すると「同じシェフと名がついていても、小さな店と大きな店では実は職種が違うのではないだろうか。SE・プログラマも同様に」ということです。
例えば記事中では、大きな店のシェフは「肉を焼いてみろ」とやらせてみても満足に焼けないと言います。それはそうかもしれない。では逆に、この30歳のオーナーシェフさんは大きなホテルの料理長になって数十人のシェフを指揮して何百人分もの料理を作れと言われたら出来るでしょうか?多分出来ないのではないかと思います。
まあいきなり料理長は無謀かもしれませんが、では記事中で馬鹿にしていた玉ねぎ炒めではどうでしょう。そりゃオーナーシェフさんも玉ねぎを炒めるのは出来るでしょう。でも何百人分もの料理を作る玉ねぎ炒めは量が違います。量が違うと作業の質も変化します。多分ですが、一度にはフライパンに入りきらない量ですから何度にも分けて炒めないといけないでしょう。その何度にも分けた玉ねぎを全て均質に炒めることは出来るでしょうか。あと大量の玉ねぎを短時間に炒めないといけないでしょう。オーナーシェフさんは高い料理技術をお持ちだろうとは思いますが、玉ねぎを何年も炒め続けている人と比べて「玉ねぎを炒めること」に関して上回る技術をお持ちだとは思えないです。
まあ料理の世界のことは想像でしか分からないので、私にも分かるITの世界の話にしましょうか。小さな店に相当するのは、一人もしくは数人程度のチームでしょうか。一方、料理の世界に何百人もに一度に給仕する巨大プロジェクトがあるようにITの世界にも巨大プロジェクトはあります。メガバンクのシステムなどでは何百何千人ものSE・プログラマが何年もかかって一つのシステムを作り上げたりします。
巨大プロジェクトの歯車として活躍しているSE・プログラマは、確かに一人で小さなプログラムを作りきれといわれても出来ないかもしれません。しかし、逆に普段一人で開発しているプログラマさんが巨大プロジェクトの開発指揮を執れと言われても何も出来ないでしょうし、末端のSE・プログラマとしても活躍できるとも思えません。巨大なプロジェクトの歯車にはそれはそれでスキルがあるのです。
結局ですね、シェフならシェフ、SE・プログラマならSE・プログラマとひとくくりで語ってしまうので同じ職種だと思ってしまい勝ちですが、所属する組織の大小によって実際には全く別の職種と言っても過言ではないのではないかと思います。それを「小さな店のシェフの方が優れている」というのは、勘違いもしくは身びいきに過ぎるのではないかと思った次第です。