発端は「就活に失敗して死にたくなるくらい悩んだら、エジプトのダハブに行ってみるのもいいと思う。」という記事。この記事自体は、就活に失敗した人を励ますもので、まあ好意から書かれているものだと思います。個人的には「まあそういう考え方もあるよねぇ」という程度の感想でした。
で、これに対して「死にたくなるぐらいなら何々しろと言う人々へ。」という記事が書かれました。なんというか大変な記事なのでうかつにまとめられないというか色々考えさせられました。
で、更に「無意識に理想が高い人」という記事がありまして、自分としてはちょっと腑に落ちた感じがしたので書きとめておきます。長い前置きですいません。
三つ目の記事では「私は、鬱病や精神破綻を起こしやすい人は、無意識に理想が高い傾向があると思う。」とあるけれど、私は多くの鬱病や精神破綻を起こしやすい人だけではなく、日本人が理想が高い状態にあるのではないかと思う。
例えば就職において。これだけ終身雇用や年功序列が崩壊したと言われている時代において、実際の学生の就職活動は残されたわずかな安定企業に集中しているのではないだろうか。そりゃ就職活動は難航するよね。「正社員になれなかった奴は負け組だから自殺して当然」と書いていた人もいたんだけど、そりゃ非正規雇用で働いている人に対して失礼すぎやしませんか?(その人はブログを閉鎖してしまったのでリンクできません)
就職活動において、現代でも終身雇用と年功序列を求めてしまう。つまり「理想が高い」状態なのではないかと思います。別の言い方をすれば、理想の変革が出来ていない。なぜなら、終身雇用も年功序列も高度経済成長からバブル景気の頃までは当たり前にあったことでしたから。バブル崩壊から20年が経過しているのに、未だに理想だけがその頃のままで停止している。時代が変わったんだから理想像も変革するべきではないかと思うのですが。つまり、正社員でなくてもいい。契約社員や派遣社員の非正規雇用でも構わない。そういう選択が出来るようになれば、就職活動も少しは楽になりませんかね。現実の現代の就職活動の状況を知っているわけではないので、もしかしたら絵空事を言っているのかもしれませんが。
ちなみに三つ目の記事で「本当は、大人がそういう人の例を、若者に提示して、「こういう生き方もあるよ」と言っておくべきなんだろうけど、」とあったので私の例を挙げておきます。
私はバブル末期の頃に就職したのですが、その時点で選択したのは社員10人のベンチャー企業です。ちなみに同級生はほぼ全員が超の付く大企業に就職し、その大半が今でもそこに勤めています。要するに、変革する前の理想の状態にいるわけですね。この先どうなるかはわかりませんが。
私がベンチャー企業に就職したわけは、自分自身の力で世間を渡っていく力を付けたかったからです。そのためには大企業に入って歯車になるよりは、ベンチャー企業で何でも屋をするほうが適していると思ったのです。ですので、その会社には失礼な話ですが、就職した時点で私はいずれその会社を辞めるつもりでした。結果的には私が辞める前に会社の方が潰れてしまったんですけどね。でも、自分で想定していた通り、ある程度の社会経験を積めましたので、その経験をもとに今はフリーランスとしてなんとか食べていっています。別にこの通りにしろとは言いませんが、こういう風にやっている人もいるということは知ってもらっていいのではないかと思います。
さて長くなってきましたが、そろそろまとめです。と言ってもまとめは「今の日本人の大半は理想が高い」の繰り返しです。これは何も就職に限った話ではありません。過去に「結婚のハードル」とか「子供に愛情なんて注がなくていい」とかを書きましたが、結婚や出産についても同様ではないかと思います。結婚について、一生間違いなく愛し続けられる人が現れるまで待つなんて現実的ですか?松田聖子なんて3回目の結婚ですよ。そこまでフリーダムにならなくても、もうちょっとハードル下げてもいいんじゃないでしょうかね。
あと、男性なら「結婚したら妻は専業主婦になってもらいたいけど、今の自分の収入では無理だから結婚できない」というのもどうでしょう。それなら共働きでいいんじゃないでしょうか。専業主婦というのは基本的に上流階級にしかない存在で、中流家庭にも存在したのは高度経済成長からバブルまでのほんの数十年だけの現象だったんですよ。だから女性も「年収1千万以上。年に一度は海外旅行」とか言ってないで、現実的な男性を探しましょうよ。
出産についても同様です。「子供を一人成人させるまでに○○万円かかる」なんて脅し文句がそこら中に飛び交っていますが、進路の選び方でいくらでも変わるんではないですかね。愛情たっぷりに育てないと、なんてのもありますが、それもどうかと。必要なことを満たしていれば、愛情なんておまけみたいなものだと思いますけどね。
繰り返しますが、今の日本人の多くは理想が高い状態にあると思います。その理想はかつては容易に手に入ったものでありましたが、現代では困難です。不安定な時代なので余計に安心を求めて理想が高くなってしまうという面はあるでしょうが、そうではなくて現代に合わせた理想に置き換えることで、人生が少しは楽になるのではないかと思いますがいかがでしょうか。