「まずは3年間働いてスキルを身につけてから起業!」とか言ってる人間はマジで無能だと思う。
うーん。このエントリーで述べていることは間違ってはいないんだけど、もともとのやりとりの意味を取り違えているのではないかなぁと思う。以下、その理由を述べます。
まず一つは、修行の中身。先のエントリーの筆者は起業したい仕事について修行しろととらえているわけだけど、そうではないと思います。修行する内容はビジネスの基礎体力を付けなさいという意味だと思うんですね。
極端に低いレベルだと、名刺の受け渡し方とか電話の話し方とか。それはレベルが低すぎるにしても、売り掛け・買い掛けとか支払いサイトとか、ビジネスの世界で当然にやりとりされている文脈を実地で経験しておくのは起業というかビジネスを行うのには必要なことなんですよね。
もちろん、全く経験せずに、毎回壁にぶち当たってゼロから自分で学ぶというのも方法ではあります。でも、自力でゼロから学ぶのは学習効率が悪いですし、一度は失敗することが前提だと、その失敗でビジネス自体が崩壊してしまうリスクもある。だいたい、こういうある程度体系化が済んでいる知識というのは知の高速道路を使って学ぶ方が効率がいいんですよ。んで、ビジネスにおける高速道路は現職であると。
だから、この意味での三年修行しなさいというのは学生とか新人とかに当てはまることです。すでに社会人経験がある程度あってビジネスの経験がある人は修行する必要はないでしょう。要するに、ビジネスマンとして一人前になっておきなさいよというのが、このアドバイスの意味のひとつだと思うんですね。
もう一つの意味は、「○○に成りたいんですが、どうしたら成れますか」というのは鉄板のNGワードってのがあります。よほど特殊な職業でない限り、その職業に就くための一般的な方法なんていくらでも情報があります。医者になりたいならどうすればいいか。そりゃ医学部に入学するに決まっています。同様に、起業するにはどうすればいいかなんて、それこそ腐るほど情報が出回っているわけです。本気で起業したい人なら、そうした情報は自分でとっくに取得済みなはずなんですね。だから「どうしたらいいでしょうか」なんて低レベルな質問をするってのは、やる気がない証拠なわけなんです。ほんとに起業する人は自分で学んで自分で実践して起業してしまいますし、もし先人に質問するとしてもそんな漠然とした質問ではなく「これこれこういうことをしたくて、自分はすでにこのような方法を採っている。しかし、ここの点でうまくいかないところがあって何か方法はないでしょうか」というように具体的になっているはずなんです。
だから、どうやったら起業できますかなんて漠然とした質問をするような人は実際には起業することはないわけですから、今の仕事を頑張りなさいというのが一番本人のためになるアドバイスになるわけです。実際には、アドバイスされた方は翌日には忘れているでしょうけれど。