レンタルですけど。初見。
あー、まあなんだ。竹熊さんが酷評してたからどんだけダメダメかと思ったら、普通に面白かった。いいじゃん、これで。人魚姫のハッピーエンド版だし。傑作かというと、そこまでは思わないかもしれないけど。
で、改めて竹熊さんの批評を読み返してみたけど、これはこれで納得がいく。竹熊さんも面白いとは言っているしね。
竹熊さんが(3)で指摘している「マンガのウソ」については、私は「一見現代日本が舞台っぽいけど、実は異次元の世界が舞台で、人面魚を普通にかわいいと思うような感性の人たち」と解釈しました。ていうか、竹熊さんが後段で述べるように、いちいち解釈する必要はないのかもしれません。それ以外にもツッコミどころ満載の作品であるのには間違いありませんし。
宮崎さんの作品では、一つ前の「千と千尋の神隠し」もかなりツッコミどころが多かった。竹熊さんの言うとおり、宮崎さんはもう伏線はりとかつじつまあわせとかそんなことはどうでもよくて、単に作りたいと思う映像を作りたいように作っているのかもしれません。
しかし、昔の宮崎さんはこういう作風ではなかったはずです。どこで読んだか忘れましたが、手塚治虫がある作品でヒロインを脈絡無く死なせた理由を「そのほうが感動的だから」と説明していたのに対して、「ヒロインが死ぬなら死ぬで、そこには観客が納得できるだけの理由を説明しなければいけない」と大いに怒ったそうです。実際、初期の作品はしっかりとしたシナリオがあったように思いますし。しかし、今の宮崎さんの作風にはそういう気風は見て取れない。もうなんでもいいって感じ?そんなふうに作家性だけを全面的に押し出した作品を作るだけならともかく、商業作品としても成功させてしまうというのが、宮崎さんを特異な立場にあるというのは、そうかもしれません。
ところで、宮崎作品といえば飛行シーンが特徴ですが、ポニョに関して言えば、波がそれにあたるんでしょう。昔から海を舞台にした作品は作りたいと思っていたそうですが、波を描くのが大変だから躊躇していたそうです。それを、短編作品「やどさがし」で実績が出来たので、挑戦するつもりになったんではないかと思います。