國母選手の問題を考えているうちに、これはオリンピック自体の抱える問題かなと思ったので、項を改めて書いてみたい。
オリンピックは次の三つの特性を持っています。
- 4年に一度開催される
- 基本的に一発勝負である
- 他のスポーツ大会に比べて極端に注目度が高い
この三つの特性のために、スポーツ選手は苦労しているんじゃないかと思うんです。
まず4年に一度しか開催されないという問題。スポーツ選手が第一線に居られる期間はそれほど長くないです。それも国際レベルでとなるとなおさら。種目にもよりますが、5年から10年程度というところでしょうか。となるとオリンピックに出場できるのは多くても3回程度が普通ということになります。もちろん、もっと多く出場する選手だって居ますけれど、それはレアケースということで。
更に言えば、選手としてのピーク期間はもっと短くなります。経験とスキルが最高潮に達し、怪我も無く、トレーニングも理想的に積むことが出来て最高のシーズンを迎えられるというのは、せいぜい1シーズンか2シーズンくらいしかないのではないかと思います。4年に一度しか開催されないオリンピックに、そのピークが合えばラッキーですが、運悪くずれてしまうと、他の大会では優勝できてもオリンピックでは活躍できずに終わるということも十分にあり得ます。
そしてオリンピックは基本的に一発勝負の大会です。種目によって何回か試技がある場合とかトーナメント形式だったりとか色々ですが、2週間ほどの大会期間に全てを終了させるという意味では一発勝負なわけです。シーズンを通しての総合成績で年間チャンピオンを決めるとかそういうのとは完全に性質が違うわけです。
そして、他の国際大会も多数開催されているのに対して、オリンピックは注目度が桁外れということもあります。國母選手の出場するスノーボードのハーフパイプにおいて、オリンピック以外にどんな大会があるか言える人って、どれくらい居るでしょうか。スノーボードのファン以外には普通知らないですよね。更に言えば、國母選手はその国際大会で優勝したりもしているんですが、それを知っている人はどれくらいいるのでしょうかってことでもありますよね。
これらの特性を合わせて考えると、選手は競技人生の中でオリンピックで戦えるのは数度のチャンスしかないというわけです。そのチャンスで勝てれば果てしない栄光が待っている。ほんの小さなミスでもしでかして負けてしまえば、あとはただの人扱いに終わってしまうわけです。これは、選手自身のトータルの能力に比例して評価が行われているとはとても言いがたい状況だと思います。
なんというか、これでは選手がかわいそうな気がしてきます。せめてオリンピックを2年に一度程度開催してチャンスを増やしてあげるとか出来ないのでしょうか。より言えば、オリンピック以外のスポーツ大会にももっと注目が行くようになるといいのですが。