アーリーリタイヤとは
アーリーリタイヤとはなんでしょうか。大多数の人がサラリーマンとして働いている現代、引退とは定年退職とニアイコールです。定年後、働かずに悠々自適の生活が出来るかというと年金制度の問題とか色々あって保証の限りではないのですが、とりあえずここでは60歳を定年年齢とし、それより早く仕事から引退する事をアーリーリタイヤと呼びたいと思います。
仕事が好きで好きでたまらないという人もたくさん居るでしょうし、そこまでいかなくてもまあまあ仕事は楽しいという人もたくさん居ると思います。そういう人にアーリーリタイヤを勧めたいとは思いません。そういう人たちにとっては仕事をすることが自己実現なのですから。
一方で、生活のために仕方なく仕事をしているのであって、しなくて済むのだったら仕事なんてしたくない。それよりも他にやりたいことがあるんだという人もたくさん居ると思います。そういう人にはアーリーリタイヤを勧めたいです。そして、自分がしたいと思っていることを実現して出来るといいと思います。
ここでは、アーリーリタイヤを実現するためにはどうしたらいいのか、実際にアーリーリタイヤした後の生活はどうあるべきなのかといった事を考えていきたいと思います。
アーリーリタイヤの公式
まずはじめにアーリーリタイヤの公式を示します。数式なんて大嫌いという人も多いと思いますが、ここは我慢して付き合ってください。その公式は以下のとおりになります。
年間支出×(60-アーリーリタイヤ年齢)=(年間収入-年間支出)×(アーリーリタイヤ年齢-現在年齢)+現在資産
要するに、アーリーリタイヤしてからの支出を蓄えるのに、現在の資産と収入から貯蓄できる分でどれだけかかるかという計算式です。この式を変形すると以下のようになります。
アーリーリタイヤ年齢=(年間支出×(60-現在年齢)-現在資産)/年間収入+現在年齢
この公式を使用するにあたって、それぞれの値をどのようにして求めるか少し注意があります。まず、年間収入は税込みではなく手取りで計算します。ただし、天引き貯金などがある場合はその分は年間収入に入れて構いません。不動産などを所有している場合、それが自分の居住用の不動産なら現在資産に参入してはいけません。それが事業用不動産だとしたらすぐに換金可能ですので、その価値を現在資産に組み入れて構いません。ライフプランニングのなかで住宅購入の頭金や教育資金など、大きなまとまった支出の予定は現在資産にマイナスとして計上しておきます。その結果現在資産がマイナスになってしまっても構いません。年間収入も年間支出も年によって変動するのが当然だと思います。ただ、そこまで細かく計算すると大変ですので、この公式では概算の平均値を用いることにします。自分の引退年齢を計算するときは、年間収入は少なめに、年間支出は多めに見積もっておいた方がいいと思います。
さて、では実際にこの公式を使用して計算してみましょう。現在年齢を30歳、年間収入を400万、年間支出を300万、現在資産を1000万としてみると
アーリーリタイヤ年齢=(300万×(60-30)-1000万)/400万+30=50
ということになり、アーリーリタイヤ年齢は50歳ということになります。みなさん、実際に計算してみていかがでしたでしょうか。アーリーリタイヤという夢のある話からすると、一気に現実に引き戻されるような年齢が出てしまったのではないでしょうか。ここで終わってしまってはあまりにも夢が無いですよね。ここから先で、アーリーリタイヤ年齢をいかにして引き下げるかという話をします。
アーリーリタイヤの公式によりますと、アーリーリタイヤ年齢を引き下げるには以下のことが必要になることがわかります。
- 資産を増やす
- 収入を増やす
- 支出を減らす
次節からそれぞれの具体的な方法について考えてみます。
資産を殖やす方法
アーリーリタイヤを実現するために一番分かりやすい方法は資産を殖やす方法です。例を挙げれば、宝くじの一等を当てれば、あとは遊んで暮らせるという話ですね。これは非常に理解しやすいと思います。
しかし、実際に実現するための方法として宝くじはあまりいい方法ではありません。それは当選確率があまりにも低すぎるからです。もちろん確率はゼロではないですが、生涯買い続けても一度も当たらなかったという結果になる事はほぼ確実です。アーリーリタイヤを実現するための手段の一つとして宝くじを買うというのはありだと思いますが、宝くじだけに頼るのは非現実的でしょう。
宝くじに比べると随分と現実的なのは親の財産を譲ってもらう方法です。現在働いている世代の親世代は一般に裕福ですから、それなりの資産を持っている人も多いはずです。その財産を譲ってもらうというわけです。なにも親が亡くなるのを待たなくても生前贈与という手段があります。むしろ、ある程度の資産を持っている場合には相続税対策で生前から工夫しておくのは必要なことだと思われます。
いずれにしても、資産を一気にアーリーリタイヤ可能な額まで殖やすというのは一攫千金的な話になって非現実的になってしまいがちです。
収入を増やす方法
すぐに思いつくのは、仕事を頑張って出世して給料を増やすという方法でしょう。その他、副業をするというのもありますし、株式などに投資するという方法もあります。家族が居る場合にはパートなどに出てもらうというのも方法でしょう。ただ、これらの方法を全て合わせても収入が2倍3倍になるというわけにはいきません。となると、アーリーリタイヤの年齢を下げる効果もそれほど大きくないということになります。
所詮はサラリーマンの収入なんてしれたものと考えると、一念発起して起業するという方法があります。全ての社長が金持ちではありませんが、会社の規模と売上によっては天井知らずの収入を得る可能性を持っています。ここで注意しないといけないのは、起業しても経営者に徹しないとダメということです。例えばラーメン屋で起業するとして、自分が店長になってラーメンを茹でていたらダメなんです。それだといくら頑張ってもラーメン屋一軒分の収入にしかなりません。自分は経営者に徹し、店長他スタッフは全て雇用してまかない、1号店が軌道に乗ったら即座に借金をして2号店、3号店と展開していって、はじめて大きなな収入を得ることが出来ます。この方法は宝くじや遺産目当てよりは、はるかに現実的ではありますが、それでも大変な苦労とリスクを背負うことになります。当然、サラリーマン時代よりもたくさん働かないといけません。そこまでしてアーリーリタイヤしたいかという観点もありますし、人によっては経営者に向いていないなどの問題もあるでしょうから、万人には勧められない方法です。
残る方法は投機でしょうか。投資ではなく投機です。投資とは順当な経済成長に従ったリターンを得るもので、その成長速度ではアーリーリタイヤには間に合いません。ですので、一発当てる投機なわけです。方法は何でも構いません。株式の信用売買でもいいし、最近の流行ならFX(為替証拠金取引)もあります。伝統的な先物取引だってあります。いずれの方法にしても、少ない元手をレバレッジを効かせて一発当てることを狙うわけです。当たるかどうかは最後には運次第ですが、宝くじよりは確率は高いのではないかと思います。
支出を減らす方法
地味ですが実は有効な方法として支出を減らす方法があります。支出を減らすことによってアーリーリタイヤまでに資産をより多く築くことが出来ますし、アーリーリタイヤ後の生活においてもスリムな生活を営む予定であれば必要な資産も少なくて済みます。ただし、これも収入を増やす場合と同様に、どんなに頑張っても現在の1/2、1/3まで生活費を落とす事は難しいので、そういう意味では効果も限定的です。
ただ、生活の無駄を無くし、必要ないものをそぎ落としていくことは、自分に本当に必要なものを見つける方法でもありますので、そういう意味では重要だと思います。
一方、注意しなければいけないのは、何事もそうですがやり過ぎてはいけないという事です。生活費を極限まで切り詰め、爪に火をともすような生活をしたとして、それでアーリーリタイヤが出来たとして果たして満足できるでしょうか。アーリーリタイヤするのは、仕事では出来なかった自己実現をするためだったはずです。そこまで構えて考えなくても、ただ仕事をしていないというだけで食べるのがやっとという生活するだけで終始する毎日で満足でしょうか。私はそれは違うと思います。日々の生活を充実させるための趣味、娯楽のための費用は多少は計上しておくべきだと思います。もちろん、過度に考えてはいけませんが。
ただ、繰り返しますが無駄な出費をそぎ落とすというのはやった方がいいです。例えば、アーリーリタイヤ後の生活費には生命保険料は含めなくても構わないわけです。なぜなら、生命保険に頼らなくても充分な貯蓄があるからです。
アーリーセミリタイヤ
ここまで「資産を殖やす方法」「収入を増やす方法」「支出を減らす方法」の三つの方法をみてきましたが、どれも簡単ではないというのがわかって頂けたと思います。では、やはりアーリーリタイヤというのは常人には不可能な夢物語なのでしょうか。ここでは、アーリーリタイヤ自体は無理でも、代替え手段としてアーリーセミリタイヤを提案してみたいと思います。
週に5日働いて土日は休みという生活パターンの方が大半だと思います。これを、週の勤務日数を4日に減らすのです。もちろんその分収入が減るわけですから、それでも生活していけるだけの蓄えか収入か節約が必要です。しかし、そのハードルはアーリーリタイヤに比べれば遥かに低いものでしょう。もし余裕があるようなら、週3日労働にし、残りの4日はリタイヤ生活となると、かなり夢が広がる感じはしませんでしょうか。
このように、アーリーリタイヤに比べると実現のしやすそうなアーリーセミリタイヤですが、問題が一つあります。それは、ほとんどの会社ではそのような就業形態を認めてくれないだろうということです。ですのでアーリーセミリタイヤを実現するためにはパートタイムやアルバイトのように時間の自由の効く仕事にするか、フリーランスなどの自営業/自由業でないと難しいでしょう。もしくは、一時期提唱されていたサラリーマン法人でも実現は可能かもしれません。
アーリーリタイヤ後の生活
さて、無事にアーリーリタイヤを果たしたものと仮定します。通常のリタイヤに比べれば遥かに若いわけですから、気力も体力も充実しています。老人趣味ではない事にだって手を出せます。そうしたときに、さてあなたはどうしますか?
生活のために仕事をしているという状態は、縛られてはいますが、それ自体が不遇な状態というわけではありません。仕事の上でも充実感、達成感を感じる事はいくらでもあるでしょう。アーリーリタイヤするということは、そうした、いわば与えられた環境から抜け出して、全てを自分で決める環境に移行するということでもあるのです。全てが自由というのは大きな可能性でもありますが、一方で手に負えないものである可能性もあります。自由というのは野良犬の自由であり、全ての事は自分で考え自分で決めなければなりません。そうした不便を抱えてでも自由でいたいという人もいるでしょうし、一方で飼い犬の不自由さを選ぶ人も居ると思います。今の仕事がいやだからアーリーリタイヤしたいと思ったとしても、リタイヤ後の生活に具体的なプランが描けないなら、言葉は悪いですが抜け殻のような人生になってしまうかもしれません。それならば、仕事をしていた方が充実した人生を送れるかもしれません。
また、重要なのは人間関係です。多くの人は、仕事を通して多数の人と人間関係を結んでいます。アーリーリタイヤするということは、こうした人とは基本的に縁が切れてしまうということです。代わりにアーリーリタイヤした人同士のコミュニティに入ったり、同じ趣味の仲間をみつける事が出来ればいいですが、そうした人間関係の構築に失敗すると、寂しい人生になってしまう可能性もあります。
アーリーリタイヤして田舎暮らし
いや、現時点で田舎に暮らしてるよ!って人も居ると思いますが、そこは少々我慢していただくとして。現実として現代日本では都市生活者の比率の方が高いわけです。あと、「都市生活者がアーリーリタイヤして田舎でのんびり暮らす」というのは一つのモデルケースとして認知されているかなと思いますので、そういうケースについて少々考えてみたいと思います。
田舎暮らしというのは、一つには「支出を減らす」方法として有効である場合があります。一般に都市に比べて郊外の方が住居費が安くて済みますから、その分支出を減らすことが出来ます。最近では人口減に悩む地方自治体が移住者に対して土地・建物を安価もしくは無償にて提供するなどのケースもありますから、希望の移住先であれば検討に値するでしょう。また、田舎暮らしをするとなると、家庭菜園などをする人も多いと思います。そうなると半自給自足できてしまって食費も安く済むという可能性もあります。そう考えると、田舎暮らしというのもなかなか魅力的ですね。もちろん、都会の喧騒から逃れて豊かな自然の中でのんびりと暮らしたいというライフスタイルもあります。
ところでその田舎暮らしですが、大きく分けて二つの方法があります。UターンとIターンです。Uターンというのは自分の元々の出身地であったり、もしくは自分自身ではなくても父母や親戚の出身地であったりする土地に戻るという方法です。一方、Iターンは出身とは関係ない土地に移住することになります。
Uターンにはいくつか大きなメリットがあります。一つはその土地がどういう環境であるか、あらかじめ知識があるということ。出身地である場合には成人するまで居住していましたから知っているのは当然ですし、父母の郷里である場合なども帰省などで何度か訪れたことはあるでしょう。また、Uターンの場合は土地に親戚縁者が住んでいる場合がありますので、地縁の中に入っていきやすいというメリットもあります。初めての土地に知り合いが一人も居ない状態ではないというのは安心感があると思います。もっとも、逆に人間関係がわずらわしいという場合もありますけれど。
ではUターンがIターンより優れているかというと、そうとも限りません。そもそも、田舎暮らしと言ってもそこに求める環境は人それぞれです。日本国内でも北海道と沖縄では気候も何もかもが違います。自分の住みたいと思っている環境が出身地に無い場合にはIターンを選択することになります。自分の好きな土地を選んで住めるというのがIターンの最大のメリットだと思います。Iターンで注意しなければならないのは、その土地に対して知識が乏しいということ。旅行で訪れた土地が気に入って移住したはいいけれど、四季を通して住んでみたら、こんな厳しい気候とは思わなかったということも有り得ます。
また、上でも書きましたが田舎というのは都会よりも人間関係が密接である分だけ、それがわずらわしいということも有り得ます。古くからある集落であるため、よそ者をなかなか受け入れない文化があったりする場合もあるでしょう。そうしたことも、旅行で訪れるだけではなかなか分からないため、難しい問題があるように思います。
注意しておきたいのは限界集落の問題です。限界集落というのは、人口が減り、高齢化が進み、集落としての機能が維持しにくくなってきている集落のことです。そうした集落は近い将来に消滅する可能性も有り得ます。集落としては、なんとか維持するために移住者を募集していたりしますから、移住していけば歓迎されることとは思います。しかし、アーリーリタイヤして移住するということは、まだ高齢者ではないでしょう。それに対して集落の住民の大半は高齢者です。続々と移住者がやってくるような魅力ある集落ならいいでしょうが、そうでないなら自分がその集落の最低年齢となる場合もあります。それはすなわち、将来において自分がその集落の最後の一戸となる可能性があるということでもあります。一戸であっても別に構わないならそれはそれでいいのですが、その時点では自身も高齢者になっていますから一戸限りで居住を続けるのはなかなか大変かもしれません。ということで、限界集落は避けておくのがよいかなと考えるのですが、それは現時点で限界集落である場合に限りません。アーリーリタイヤして田舎暮らしをするわけですから、残りの人生は何十年と続きます。その何十年の間に限界集落になってしまう可能性も考えられます。その土地が将来限界集落になってしまうかどうか完璧に予想することは難しいでしょうが、ある程度想像しておいた方がいいのではないかと思います。
なお、これまで書いてきたことはいずれもその土地に永住する場合についてです。数年田舎暮らしを堪能したら、また都会に戻ってきたいという考えもあるでしょうから、そういう場合にはもう少し気軽に考えてもいいのかもしれません
アーリーリタイヤして海外暮らし
「アーリーリタイヤして田舎暮らし」の発展版のような話です。「アーリーリタイヤして田舎暮らし」では日本国内の郊外に住むことを想定していましたが、別に日本に限って考える必要はありません。外国で暮らしたって構わないわけです。ということで、アーリーリタイヤして海外暮らしについて考えてみます。 移住する国によりますが、田舎暮らしと同様に海外暮らしの場合も「支出を減らす」方法として有効である可能性があります。それは日本と移住先の国の物価の違いです。一般に日本は物価が高いと言われています。欧米の先進国と比べたらそれほど差は無いかもしれませんが、発展途上国などでは日本の何分の一、何十分の一で暮らせる場合もあります。となると、「アーリーリタイヤの公式」が若い年齢で成り立つ可能性も高くなるということです。ただ、手放しで勧められるかというとそういうわけでもないと思います。以下、考えられる注意点を書きます。
移住先の国をどこにするかは、人それぞれ好き好きですのでお任せするとして、まず存在するのはビザの問題です。短期旅行であればビザなしで渡航できる国であっても、長期滞在もしくは永住となるとビザが必要になります。特に永住となるとハードルは高くなります。アメリカ合衆国の永住権(グリーンカード)などは取得が困難なことで知られていますよね。自分がその国の永住権を取得する条件を満たすかどうか、まずそれを調べなければなりません。
なお、これには抜け道がないわけではありません。抜け道というと語感が悪いですが。要するに永住するのは難しくても、長期滞在であればそれほど難しくないわけです。例えば1年以内の滞在ビザが取れるとすると、1年経つ直前に日本に一時帰国して、またビザを取り直して再訪問すればいいわけです。実際、バックパッカーでそのようにして長期間海外放浪している人は居ますしね。
ビザの他にも海外暮らしには注意点があります。その国の政情安定性もその一つでしょう。日本に住んでいるとあまり意識しませんが、世界の国々では政情が不安定であったり、時には革命が起きて政権がひっくり返ったりすることも珍しいことではありません。極端な話、内戦や紛争が起こったりすることもあります。もちろん、そういう可能性は日本に住んでいたってあるわけですが、母国に居住している場合と、外国人として居住している場合ではかなり対応に差が出てくるでしょう。例えば、東日本大震災の直後には多くの日本滞在の外国人が帰国したそうです。情勢が不安定なときに、言語の壁で情報が十分に収集できなかったり、外国人であることを理由に行政のサポートから漏れてしまったりするということは、残念ながら存在するわけです。東日本大震災のとき、日本人ももちろん不安に思っていたでしょうが、日本に滞在していた外国人はそれ以上に不安に思っていたことだろうと思います。
政情だけではなく経済が不安定な場合もあります。物価が安いと思っていた国が、急速にインフレが発生して物価高になってしまったということも有り得ないわけではありません。
あとは、なんと言っても言語の壁でしょうか。その国に移住しようと考えているくらいの人であれば、その国の言語にある程度堪能ではあると思います。多分、日常生活では特に問題となる場面はないでしょう。しかし、永住して生活するということは、日常を超えた場面も存在しうるということでもあります。例えば事件や事故に巻き込まれて警察沙汰になった場合、その国の法律に基づいて警察官や裁判官と会話が出来ると言えるまでの言語能力を持っているという人は稀ではないかと思います。難しい病気になって生死に関わる判断を下さなければならないときに、医学用語を正確に外国語で理解して医師と会話が出来るかというと、これもなかなかに大変ではないかと思います。こうしたときに、日本人であれば結局頼りになるのは日本という国ではないかと思います。具体的には、その国に駐在している日本大使館や領事館などですね。大使館などを時々訪れてコネを作っておくというのは、しておいて無駄になることはないと思います。
否定的なことばかり書いてしまいましたが、逆に言えばこれらの問題に注意すれば海外暮らしを視野に入れることも可能であるということでもあります(私が見落としている点も多々あるでしょうから、他でも情報収集は怠らないように)。狭い日本の中だけで一生を終えたくない、広く世界を見てみたい、というのも立派な志だと思いますので、そう思うならできるだけ実現できるといいと思います。
(2016/12/2追記)
先日、海外に住む日本人シニアがボケて、日本語しかしゃべらなくなることについてという記事を読みました。
簡単に言うと、年をとって痴呆症になると習得した外国語を忘れてしまって母国語しかしゃべれなくなってしまうという問題です。母国であれば痴呆症患者ですが、外国に移住した場合は周囲は基本的に外国語しか理解しない人たちなので、日常的なあらゆる意志疎通が困難になるというわけですね。これは、海外移住する人にとっては注意すべき点だと思います。
当たり前ですが、人は老います。気力も体力も衰えますし、病気にもかかるでしょう。若くて健康ならば簡単にこなせていたことでも、年をとって衰えると困難になるというのは、身の回りの老人を見渡せば容易に理解できると思います。これが言葉の通じない外国であれば、困難は何倍にもなるでしょう。現地の言葉に堪能であったとしても、外国語能力も加齢によって衰えるということは認識しておくべきなのでしょう。
現地での生活が困難な状態になったら日本に帰ってくればいいんだ、というのも一つの方法です。ただ、若い頃なら実現できた海外移住を加齢によって衰えた状態でこなせるでしょうか。まして、認知症になってしまったとしたら日本に帰るという決断も行動も困難になるでしょう。となると、そんな状態になる前のまだ若くて気力体力があふれているうちに日本に再移住しておく必要があるのかもしれません。
日本への再移住も困難になった場合、現地で終末の時を過ごすしかありません。自力での生活が困難になったら現地の福祉に頼るしかありませんが、その国の福祉制度はどれくらい充実しているのでしょうか。ましてや、外国人に対する福祉はそもそも存在するのでしょうか。日本も少子高齢化などのために、今後の福祉制度の維持に疑問符がつく状態ではあります。でも、まだ言っても世界第三位の経済大国で先進国。世界200カ国の中では福祉制度は充実している方でしょう。日本より劣るその国の福祉制度に頼って終末の時を過ごすというのは、果たして望んでいる未来なのでしょうか。ましてや、現地の言語を忘れて意志疎通が困難になったとしたら。
結局、若いうちは海外でもどこでも行けばいいけれど、年をとったら日本に帰ってくる、故郷に帰ってくる、というのは自然な思考なのかなと思った次第です。自分にとって安心できる場所というのは生まれ育った場所、近親者が多くいる場所ということなのでしょうか。
FXでアーリーリタイヤ
別にFX(為替証拠金取引)でなくても商品先物でも現物株でも何でもいいんですが、やってる人が一番多そうな気がするのでとりあえずFXでタイトルをまとめてみた。要するにデイトレードで資金を稼いで、その資金でアーリーリタイヤする方法です。
FXでアーリーリタイヤと言っても大きく分けて二つあります。一つはFXでアーリーリタイヤのための資金を稼ぎ、アーリーリタイヤした後はFXはしないという方法。もう一つは、アーリーリタイヤしてFXで生活費を稼ぐというもの。
前者については、特に問題はないと思います。FXでそれだけ稼げるかという問題はありますが、少なくとも宝くじを当てるよりは確率が高いと思います。(負けて全財産を失う可能性もありますが)。FXで十分な資金を稼ぎ、あとは悠々自適の生活を送るというのは、私の考えるアーリーリタイヤ像からも外れていません。
一方、FXで生活費を稼ぐのはどうでしょうか。確かにサラリーマンは退職しているのでアーリーリタイヤには違いないかもしれません。しかし、サラリーマンとして働く代わりにデイトレードをしているわけですよね。それは単にデイトレーダーという職に転職しただけではないでしょうか。
もちろん実際にそうしている人を非難したいわけではありません。ご自分の人生ですから、自分がしたいと思ったようにすればそれでいいと思います。ただ単に、私の考えるアーリーリタイヤ像からは、外れているのではないかなと思うという次第であります。
私の考えるアーリーリタイヤとは、生活費を稼ぐために働くことに時間を費やすのではなく、自分の本来やりたい事をやって自己実現するということだと思うのです。ですので、デイトレードが自己実現であるという人はそれでいいのですが、「出来ればこんなことはしたくないなぁ」と思いながらデイトレードしているとしたら、それは何か違うのではないかなと思うわけです。
アフィリエイトでアーリーリタイヤ
このサイトにもAdSense広告を貼ってます。個人で副業と言ったときに、アフィリエイトというのは随分と一般化したと思います。好きなことをブログで書いて、そこに広告を貼って、それが収入になるなら、趣味と実益を兼ね備えているわけで結構魅力的ではないかと思えます。ただ、世の中そんなに甘い話があるわけでもありません。
それはどういうことかというと、アフィリエイトというのは実際にはなかなか儲けるのは難しいということです。現実問題、私のサイトに貼っている広告からの収入も全然大した額ではありません。正直、お小遣いにもならないくらいの額で、とてもこれで暮らしていけるというわけではありません。
実際、「アフィリエイターの2割が月間収入0円、一方で100万円以上が2%」という興味深い調査があります。アフィリエイターの2割は月間収入が0円というのは結構ショッキングな調査結果ではないでしょうか。下から順に足していくと、月間収入千円以下が5割以上、1万円以下が75%となります。逆に言えば、1万円以上の収入を得ようと思ったら全体の1/4に入らなければならないということです。1万円ならお小遣いや副業としてはまあまあですが、アーリーリタイヤして生活費に当てようというには無謀な金額ですよね。どんなに切り詰めたところで月間10万円の収入は欲しいとなると、全体の1/10に入るくらいまで努力しなければなりません。となると、おそらくですがブログの更新にも相当に力を入れなければならないと思われますので、これはもうアフィリエイターという職業として取り組まないといけないのではないかと思います。つまり「FXでアーリーリタイヤ」でデイトレーダーという職業に転職しただけと書きましたが、それと同じことではないかと思います。
収入の金額と手段を増やしておくことは重要なことなので、デイトレードであれアフィリエイトであれ、余裕のある範囲で取り組むのはそれは結構なことだと思いますが、それをもってアーリーリタイヤを実現するのは少々難しいように思います。