私はマンション管理組合で防災担当者をしていました。この役目では防火管理者という資格が必要になりますので、消防署で実施されている講習を受講しています。その講習で聞いた話を中心に、いざ火災が起こったときに被害を少なくするためのポイントを書き記してみたいと思います。もちろん、ここに書いたことだけで全てではありませんので、その点はさっぴいてお読みください。また、まずは火を出さないための注意が一番大事なのは言うまでもありません。
- 玄関に物を置かない
- 玄関のカギひとつで施錠できるマンションは防犯面で優れていると言われますが、逆に言えば災害時の脱出路が限られるというデメリットにもなります。まず、玄関に物をたくさん置かない事です。いざという時に、玄関に置いたものが邪魔で脱出できないと困ります。
- 玄関ポーチ、廊下、階段にも物を置かない
- 最近は玄関ポーチがあるマンションが多いですが、つい物置代わりにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。そうした場合、もちろん災害時の脱出の妨げになります。また、放火される危険性もあります。出来るだけ玄関ポーチには物を置かないようにするべきでしょう。廊下、階段なども同様です。
- 火災報知器、スプリンクラーを遮らない
- 各居室の天井に火災報知器やスプリンクラーが設置してあるかと思います。これらの機器が正常に動作するためには、家具などで機器を遮らない事が重要になります。スプリンクラーの真下に箪笥を置いてしまい、せっかく噴出した水が部屋に広がらず消火の役に立たなかった事例もあるそうです。
- 脱出用パネルを遮らない
- バルコニーには隣戸へ脱出出来るように、簡単に壊せるパネルで区切られていると思います。このパネルの周囲に物を置いていると当然に脱出が困難になります。また、隣戸から脱出してくる場合にも、ここが脱出路になるわけですから、そういう意味でも塞いではいけません。
- 避難梯子を遮らない
- バルコニーには下階へ脱出するための避難梯子が設置してあると思います。この避難梯子の上に物干しや植木などを置いて、いざというときの脱出の妨げにならないようにしましょう。また、これはうっかりしやすいと思うのですが、自宅のバルコニーは上階からの脱出路になります。上階からの避難梯子の降りてくる場所に物を置いていると、避難梯子が下ろせなくなって、使用できません。最悪、上階の方が脱出出来なくて被害に遭う可能性もありますので、絶対に塞がないように注意しましょう。
- 消火器を手近な所に
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せっかく消火器を持っていても、どこか奥深く仕舞い込んでいては、いざという時に役に立ちません。消火器が有効な初期段階の火災では、まさに秒単位で火災が広がっていきます。そうしたときにゴソゴソと消火器を探していては手遅れになるでしょう。まずは身近なすぐ出せる場所に置いておく事です。
また、手近に置いてあっても使い方が分からないと意味がありません。火災で慌ててしまって使い方がわからず、火元に消火器自体がただ投げ込まれているという笑い話のような事例が何件もあるそうです。防災訓練に参加して使い方を体験しておくと、いざという時に役に立つでしょう。
- 初期消火に失敗したら逃げる
- 素人が考えるより、火の広がる勢いははるかに速いです。せっかく一旦は脱出したのに、まだ延焼していないから大丈夫と自己判断して何かを取りに火元に戻り、結局焼死してしまうという事故は多いそうです。初期消火は非常に大事ですが、消火に失敗した場合は素直に脱出して、専門家である消防士に任せましょう。
- 逃げるときは騒ぐ
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逃げるときはとにかく大声で騒いで周囲の人に知らせる事です。逃げ遅れている人に知らせる意味もありますし、周囲から助けを呼ぶ意味もあります。人命に関わることですから、恥ずかしがっている場合ではありません。人がたくさん集まってくれば、それだけ手分けして出来ることも増えます。
また、周囲で誰かが火事だと騒いでいたら、とにかくそちらに向かうことです。そして、まだ消防車が来ていないようなら、迷わず119番通報しましょう。他の誰かが既に通報していたところで、消防署はそんな事では困りません。「誰かが通報しただろう」で実は誰も通報していないと最悪です。
- 消火しても119番通報する
- 幸いに消火器などで自力で初期段階で消火に成功した場合でも、119番通報して消防士の指示を仰ぎましょう。素人目には鎮火しているようでも、実は燻っているという場合もあります。消防士によって確実に鎮火している事を確認してもらうとよいです。サイレンを鳴らしてこられると恥ずかしい場合、その旨を伝えれば、サイレンを鳴らさずに来てくれるそうです。
- 防災訓練には出来るだけ参加する
- 大抵、年に1度は防災訓練が実施されると思います。上に書いたような事を訓練として体験できる貴重な機会ですので、ぜひ参加しましょう。