マンション管理組合による周辺土地買収

2004/5/20作成

どこでだったか忘れましたが、マンション管理組合で周辺の土地を購入し駐車場を増設したという記事を見た事があります。本当にそんな事が可能なのかどうか定かではありませんが、もし可能ならば、これは結構面白い可能性を秘めているように思います。

マンションの寿命は短くても30年程度はありますから、マンション管理組合は10年20年という比較的長期でモノを考える事が可能です。土地は安いものではないでしょうが、20年くらい掛けて駐車場として運営すれば購入資金は充分にペイできるでしょう。都心のマンションなどで駐車場不足で悩んでいるマンションの場合、駐車場を増やす事は大きなメリットだと思います。

そして、マンション管理組合による土地購入の最大のメリットは建て替えの時に生かされると思います。最近行われている築30年以上のマンションでは、戸数を増やして建て替えし、増えた住戸を分譲して建て替え資金をまかなう事があります。ところが、最近建てられるマンションでは既に建蔽率が一杯ですから、建て替え時に住戸を増やす事はほとんど望めません。そうした時に周辺の土地を買収していれば、マンションの敷地は当初のものよりも広くなっています。すなわち住戸を増やす事が出来るのです。

建て替えを諦めた場合にでも、敷地を広げておく事はメリットになる可能性があります。基本的に土地というものは細切れになっている程価値が低くなります。逆にいえば広い敷地がまとまっている方が価値が高くなります。広いほうが利用度が高くなりますから、あたりまえですね。数十年掛けてマンションで周辺の土地を少しずつ買い集めて敷地を取りまとめておくと、建物を壊して土地を売却するときに高く売れるようになるかもしれません。言葉を悪く言えば、時間を掛けた地上げという事になります。

マンションの管理組合活動というと、何か問題が起こったときにどう対処しようかという守りのマンション管理がどうしても主体になってしまうかと思います。それはもちろん大切な事なんですが、周辺の土地買収を行うなど、マンション管理組合自体がビジョンを持って積極的な活動を行う、言わば攻めのマンション管理ができるようになると、面白いんじゃないかと思います。

ところでマンション管理組合で土地を購入すると、実際にはどういう処理が必要なんでしょうね。人格を持たないマンション管理組合では直接土地を所有できないでしょうから、区分所有者全員で区分登記するんでしょうか。ちょっと現実的ではないですね。NPO法人化したマンション管理組合なら、こういった問題も起きないのかもしれません。