これまた少し前の話になりますが、東京都都市整備局が東京都LCP住宅の登録・閲覧に係る基本方針というものをまとめたとのことです。
LCPとはなんぞやというと「Life Continuity Performance」の略称だそうで、要するに震災などの大規模災害時にも生活機能を維持する住宅の基準とその登録制度だそうです。
具体的には
- 水が供給されること
- エレベータが1基は稼動すること
- 発電機を備えていること
などが挙げられています。
震災で電気の供給がストップした場合、給水やエレベータ稼動に必要な電力を自家発電で用意できることということでしょうか。ライフラインとしての水がストップしていなくても、電力が止まればポンプが使用できなくなって給水は出来なくなりますし、エレベータは電気がないとそもそも動きませんからね。特にエレベータについてはタワー型マンションなど高層住宅は事情は深刻でしょう。
でまあ、そういう基準を東京都が定めるのは、それは別に構わないわけですよね。それが建築基準法とかに反映されたら大変なことですが、現時点ではそういうガイドラインと登録制度を用意しただけで、全ての住宅がこの基準を満たさなければならないというわけではないですから。
しかし、一方でそういうLCP住宅という基準が出来るということは、それを満たした住宅は売り文句が増えるわけですから、住宅を販売する側からしたら基準を満たそうというインセンティブが発生することにもなるわけです。まあそれが東京都のねらい目なわけですが。実際、災害時にはあるといいなぁという事項ではあるので対応してくれるならそれに越したことはないのですが、当然ながら発電機を備えるなどには費用がかかるわけでして。実際、マンション業界から困惑の声 厳しすぎる東京都の震災対応基準のように否定的な声も業界からは聞こえてきたりするわけです。
また、これから建築・販売する住宅はともかく、既存の住宅をどうするかという問題もありますよね。理想的には既存の住宅も全てこの基準を満たすといいですが、そう簡単にはいきません。そこにはもちろん費用の問題もありますが、それ以前の問題として発電機などの設置場所を設計時に想定してなかったわけですから、それをどこに置くかという問題はより深刻だと思います。
どうするのがいいのか、LCP住宅が今後どのように運用されていくのかわかりませんが、とりあえず現時点でのメモとして残しておきます。