当選確率10%の東京マラソンに10回目にして初当選しましたので、参加してきました。
スタートは新宿都庁前なのですが、3万7千人ものランナーなので人でごったがえしてます。スタートエリアへの入場はゼッケンごとにゲートが指定されていてそちらに向かうのですが、空港並の厳重な警備とセキュリティチェック。人の集まるところはどこでもテロの標的になりますし、実際にボストンマラソンで悲劇もあったわけですから、この対応もむしろ当然ですね。もちろん、警備が厳重であることに文句も無いです。
警備はいいんですが、ちょっと困るのは預け荷物のサイズにも制限がきついこと。指定されたビニール袋一つ分しか預かってもらえませんので、実質着替えとか預けるのは無理。駅のコインロッカーに入れておこうかとも思うんですが、ゴールはこことは違うビッグサイトなのでそれもできず。致し方ないのですが、なかなか不便です。
スタートエリアに入ってからもとにかく人で人でいっぱい。そもそも着替えとか無理ですし、座るスペースすらありません。スタートまで1時間以上、混雑するなかをじっと立って待ちました。
ようやくスタートの号砲が鳴ったわけですが、自己申告タイム順で並んだ最後尾に近い私たちはなかなか動きません。結局スタートラインを超えたのは号砲から25分ほど経過した頃でした。ここまでスタートが遅かったってのは、他の大会では記憶にないなぁ。
スタート地点でもう一つ驚いたのは、ランナーの人たちの脱ぎ捨てた防寒のポンチョ類がコース上に散乱しまくっていたこと。正直、こんなに汚いスタートラインはこれまで見たことありません。もちろん美観の問題だけではなく、足に絡まって転倒するおそれもありますので大変危険です。これは主催者の問題ではなく参加するランナーの問題ですよねぇ。主催者も繰り返しコース上に防寒具を捨てないでとアナウンスしていたのに、それを無視する人がこんなに居るというのは悲しいなぁ。
ということで、待ち時間と防寒具で少々テンション低めでスタートしたのですが、こっからはなかなか楽しい時間でした。普段暮らしている、よく知っている東京の街を交通規制して車道を走れるというのはなかなかできる体験ではありませんよね。よく知っている風景も車道からでは違った景色になります。普段なら電車で移動する区間を走って移動するというのも非常に新鮮。沿道にも、行ったことのある場所、入ったことのある店などが次々と現れますので、地元での都市マラソンというのはなかなかいいものですね。
一方、いまいちだったのが距離表示。1kmごとに掲示されているのですが、町中なので商店の看板などに紛れてなかなか見つけにくい。実際、何カ所も見落としてしまいました。郊外を走る大会ならあの程度の掲示で十分でしょうけれど、都市マラソンならもうちょっと目立つような工夫があるとありがたかったです。
都庁前のスタートが道がせまくて時間がかかりましたが、スタートしてからの道は結構広いです。意外ですが、東京って道が広かったんですね。片側三車線とかあれば、ランナーにとっては十分。スタート直後から渋滞で走りづらいということはありませんでした。これだけ道が広いのに普段あれだけ渋滞してるってのは、それだけ交通量が多いってことなんですねぇと、妙なところに感心してみたりとか。
最初の関門は5kmですので、5kmを越えたところでここらで行っておくかと思ってトイレへ。そしたらなんと関門はこの先ですって。しかもあと10分で閉まるって。ええー。あわててトイレを済ませて関門を通過します。どっかでひっかかるかもしれないとは思っていたけど、まさか最初の5kmで厳しいとは思いもしませんでした。スタートで30分近くもハンデがあるせいですよねぇ。これは厳しいなぁ。
以後、10km、15km、20kmの関門も残り10分程度でなんとか通過します。なかなか厳しいレース展開になってきましたね。今回はとにかく完走することが目標でしたので、ペースはキロ7分から8分程度。とにかく無理せずを心がけるのですが、関門が厳しいのでそうも言ってられなかったりとか。
10kmの関門を過ぎたあたりから左膝も痛み始めます。どうしようもないので、無視して走り続けますけれど。膝の痛みもあり、10kmを過ぎたあたりからだんだんしんどくもなってきます。せめて半分までは歩かずにがんばろうと自分をふるいたてて、なんとか20km地点を通過。もちろん関門タイムは迫っています。
20kmを過ぎてもゆっくりだけど走ってはいたのですが、小さな橋を越える登り坂で力つきてしまって、とうとう歩いてしまいました。ほんの数十メートルの緩やかな登りだったんですけどねぇ。
その後も少し歩いては少し走ってを繰り返していたのですが、25kmの関門でラスト1分とのアナウンス。なんとか関門は通過しましたが、正直この状態では次の関門は絶望的。実際、周囲の人も気力が尽きて一斉に歩き始めてしまっています。東京マラソンでは完走サポートランナーというボランティアの方がいらっしゃって、関門通過タイムギリギリで走ってくださってます。金ぴかの風船を掲げているので目立ってすぐわかります。この方たちと一緒に走れば完走できるわけですが、実際のところとしてこの辺りを走っているランナーにとっては一緒に走れるだけの体力なんて残ってないわけですよね。ある意味、リタイアの使者のようなもので、彼らに追いつかれたらおしまいというか。もちろん、そんな意図で走ってらっしゃるのでないことは重々承知なのですんが。完走サポートランナーの方々に追い抜かれて、風船がどんどん先に行ってしまうのを見ると、気持ち的にもどよーんとしてしまいました。
その後も少し走って少し歩いてを繰り返していたのですが、29km地点で関門タイムを過ぎてしまい、役員の方にレース終了を宣告されました。がっくし。残念無念。うーん。あとは収容バスに乗ってゴール地点のビッグサイトへ。ともかく、荷物を受け取りに行かなきゃいけませんからね。無事に完走した人たちが歓喜のときを過ごしている中、黙って荷物を受け取って目線を下げて黙々と歩いていくのは、なかなかに居心地が悪かったです。次回は是非、完走しなければ。その前に抽選に当たらなければなんですけどね。
備忘のメモを少し。東京マラソンは給食が充実しているということだったので特に自分では用意してなかったのですが、最後尾の私たちが給食ポイントに到達した頃にはすべて配り終わっていたということが多々ありました。多めに用意しても余ってしまって勿体ないので主催者を責めるつもりは全くありません。せめてあめ玉くらいは自分で用意しておくべきだったなと反省した次第です。沿道の応援の方々が差し入れをしてくださったので、そちらをいただいて補給することはできました。ありがとうございました。
凄いなと思ったのはトイレ。仮設トイレがめちゃめちゃたくさん設置してあります。しかも次のトイレまで何メートルという表示もしてあるし。おかげでトイレに困ることは全くありませんでした。
都市マラソンということもあり、沿道の応援が凄いです。途切れることなく、ずっと応援が続きます。ちょっとくらい応援が途切れて気が休まる区間も欲しいような気もしないでもないのですが、そんな場所はありません。私のように自分に甘いランナーにとっては最適な大会だと思います。ボランティアの方々も熱烈に応援してくださいますので、気力が尽きかけた時にハイタッチをもらって元気がでたってことも何度もありました。ありがとうございます。
そこらじゅうをAEDを背負って自転車で巡回する方々がいらっしゃいます。医師の方は「医師」ってでかでかと書いたビブスを着て走ってらっしゃいます。東京マラソンでは過去に松村邦洋さんが心配停止になったことがありましたが、他にも同様のケースは7件ほどあるそうです。というか、これだけの人数が参加する大会ですからそういう事態が起こり得るのは当然ですよね。そうしたことが起こっても、絶対に助けるぞという運営の方々の強い意志を感じるとともに、自分にそういう事態が起こっても絶対に助けてもらえるんだという安心感がありました。って、私も東京マラソンの救命講習受けたバイスタンダーなんで、もしも目の前でそういう事態が発生したら絶対に助けるわけですが。