あまりの痛快な面白さにゲラゲラ笑いながら読みました。とても面白かったです。筆者の泉美木蘭さんに、本書に関わった全ての人に感謝。ありがとう。
あ、ちなみに笑ったと言っても、川村、オトマル、青山エリカ三人をばっかでーと思ったわけではないのですよ。もちろんバカではあるんですが、でもなんというか「ああ、分かる分かるその気持ち。分かりすぎる」って感じで面白かったんです。多分、自営業とか経営者の方だと同感するところだと思うんです。だから、この本は経営の経験がある人と無い人で、180度評価が分かれるかもしれませんね。
さて、本書では筆者が関わった二人のダメ社長について語った後、それらの失敗をふまえたはずの筆者のダメ社長っぷりが克明に描かれています。とても面白いです。読み物としても面白いのですが、これは是非起業を考えている人に教科書として読んでもらいたいと思いました。
ノムさんの言葉に「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」というものがあります。試合に勝った場合、勝った理由をいくつも並べることはできますが、かといってその通りにすれば必ず勝てるわけではない。そんな勝利の方程式は存在しないのです。一方、負けの方は存在します。こうすれば負けるという方法はいくつもあって、その通りにすれば100%間違いなく負けることが出来ます。
これは会社経営についても同じだと思います。成功した社長の自伝や啓発書のたぐいは山ほど出版されています。それぞれの社長の成功の理由は、後付けではいくつも考えることは出来ると思います。でも、その社長と同じことをしたからといって、必ず成功するなんて保証はどこにもない。
一方、失敗した社長の経験談というのは、やはり売れないからか成功談よりは少ないように思います。その数少ない一冊が本書なわけですが。経営の失敗の方法は確実です。こうしたら失敗するという方法をなぞったら、100%間違いなく失敗します。だから、起業したいと思っている人は、成功談を読むのもいいけれど、失敗談も知っておくといいと思うのです。ジョブズの伝記を読んで「俺も世界を変えてやる」って思っている人はたくさんいると思いますが、伝記の通りになぞって行動してみたところでジョブズになれないことは、ほぼ確実に分かっていることですよね。
ただ、失敗を知っていれば回避できるかっていうと、それもとても難しい。そこも書かれているのが本書の有意義なところです。二人のダメ社長のダメっぷりを身近で見ていて心底理解していたはずの青山エリカが、それらの知見をもとにしても、やっぱりダメ社長になってしまったという事実。それだけ経営というか起業というのは難しいことなんですよね。だからって恐れていてばかりでななにも出来なくなてしまうので、どこかで思い切って挑戦しなければならないというのも一理あるのですが、本書のような失敗談も頭の片隅に入れておいてもいいのではないかなと思った次第です。とても面白くて有意義な本をありがとうございました。