攻めの営業と待ちの営業

2013/1/18作成

随分前にも似たようなことを書いたような気もするけど、気にせず書く。

とある人と仕事の話をしているときに「それは待ちの営業だからよくない」と言われました。その場では特に反論しなかったんですが、あとあと考えるとやっぱり違うよなぁと思うので、ここにその考えを記します。

攻めの営業。言葉はカッコいいですよね。ポジティブだし能動的だし積極的だし。でも、本当にそれでいいの?

攻めの営業ってことは、顧客にはニーズがまだ無い段階から営業を仕掛けるってことですよね。ニーズを掘り起こし、顧客をその気にさせて、予算を確保して、ようやく仕事になる。その過程を経ないと仕事にならない。当然、営業にも労力が掛かります。

また、そもそもニーズが無いってことは、果たして本当に顧客が欲しいものを売ることになるのかってのも問題になるんじゃないかと思います。読んだことは無いけど、エスキモーに冷蔵庫を売るとかいうビジネス書がありましたよね。あんな感じで売りつけるってことですよね。極論すれば、顧客を騙してでもその気にさせれば勝ち、みたいな。そうした場合、顧客は幸福にはならないわけで、win-winの関係にならない可能性だってある。

一方、待ちの営業。受動的で消極的ですねぇ。たなぼた的とも言える。

でも、待ちの営業の場合、仕事の話が来た時点において確実に顧客のなかにニーズは生まれているんですよね。更に言えば予算取りとかそういった根回しだって済んでいることも多い。つまり、待ちの営業の場合は、仕事がいつ来るか分からないという欠点はあるものの、一旦話が来ればその後が早いわけなんですね。あと、顧客の中にニーズが必ずありますから、確実にwin-winになるという点も見逃せない。

ということで、私としては理想的な営業とは待ちの営業なんじゃないかなと思うわけなんです。

(2021/1/23追記)

この記事を読んだ方から、その後考えは変わりましたかと聞かれました。その場でうまく整理して答えることができなかったので、自分のまとめも兼ねて少し書いてみたいと思います。

と言っても、基本的に考えは変わってないんですよね。理想的な営業は待ちの営業だと今でも思っています。顧客の中にニーズが既に生まれているということもそうなんですが、それ以上に大きいなと思っているのは、自社の営業コストを節約できることですね。お客さん自ら足を運んでくれるわけですから、自社の営業コストはゼロで済むわけです。一時期、口コミマーケティングがもてはやされたことがありました。これも根っこは待ちの営業と同じ考えだと思うんです。自社の営業コストをかけることなく、ユーザ間の口コミで勝手に広まっていって売れてくれるのが理想と。

では攻めの営業は全く無意味で無駄なものかというと、そういうわけでもないなとも思っています。待ちの営業が成立するためには自社のことや自社のサービスについてお客さんがあらかじめ知っている必要があるんですね。つまり十分に有名な会社でないと、待ちの営業は成り立たないんですね。有名と言っても日本中誰でも知ってるとまではいかなくても、業界では有名とか、地域では有名とかでも十分なんですが。

そこまで有名でない場合、特に創業したての会社だったり、サービスをリリースしたばかりの場合は、攻めの営業を行って自社や自社のサービスを知ってもらう必要があるというわけです。