「天国で君に逢えたら」と同じ飯島夏樹さんの本。あちらは小説だったけど、こちらはノンフィクション。飯島夏樹さん自身が末期ガン患者で、日々の出来事や思いを綴ったもの。不謹慎な言い方だけど、こちらは面白かった。もう少しいい言い方をすれば、心に響いた。
話は少し変わって、私は自分が死ぬとしたらガンで死にたいと思っている。事件や事故に巻き込まれて死ぬなら話は別ですが、そうでなくて病死ということになると、確率的にガン・脳梗塞・心臓発作のいずれかで死ぬ可能性が高いわけです。そのなかで、脳梗塞・心臓発作の場合は死ぬとしたら急死ですから、なんというか自分がそれを受け入れる暇が無いと思うんですね。一方、ガンの場合はいくら末期だとしてもすぐに死ぬわけではない。多少なりとも死ぬまでに時間が掛かるわけで、その間にそれを少しは受け入れられるんじゃないかと想像するんです。
しかし、この本を読んで知りましたが、ガンで死ぬのも楽じゃない。当たり前だけど。一つは、ガンで死ぬとなっても、実際に死ぬときはやっぱり容態急変で死ぬわけだから、それは苦しいし、やっぱり自分にとっては突然にやってくる死には変わりがないということ。また、私は漠然と終末医療も進化しているので、あまり苦しまずに闘病生活を送れるような気がしていたんですが、とてもそうとは思えないこと。どんどん衰えて、苦しくなっていく毎日を思うと、いっそ早く死なせてくれた方が楽なんじゃないかと思えてきたり。まあ、結局自分がどうやって死ぬかなんて、自殺でもしない限り自分で決められるわけでもないので、どれもこれも仮定での話でしかないんですけどね。
で、飯島夏樹さんの闘病記。飯島夏樹さんは色々苦しんだあとに、ある意味悟りを開いたような心境になったとありますが、果たして本当かなぁと思わなくも無く。もし本当に悟りを開けたのだとしたら、それはそれで素晴らしいことだと思うけれど、一方で人間なんてそんなに簡単に悟りが開けるようには出来てないわけだから、表面的には落ち着いていても、内心は「なんでオレが」と思わないわけではなかっただろうと勝手に想像したり。失礼ですかね。
この本を読んで知ったんですが、ホスピスって延命治療は基本的にしないんですね。治療すれば今は助かるような場合でも、苦しみをとるだけで、あとは死ぬに任せるそうです。飯島夏樹さんはホスピスを選ばなかったため、大出血を起こしたときも、とりあえず命を取り留めたそうです。この辺は、日米でのホスピスの違いもあるかもしれません。飯島夏樹さんは最後のときをハワイに移住してすごしたわけですから。