Yahoo!知恵袋に投稿された「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」という質問がきっかけで人気ブログになって書籍化されたものだそうだ。奥さんが可愛くて面白いという感想を抱く人が圧倒的らしいんだけど、私は全然違う感想を抱いたので書き記してみる。
まず思ったのは、この旦那さんって団塊オヤジみたいだなぁ、ってこと。つまり「何も言わなくても家族は分かってくれる」と思って何も言わない。でも何も言わないから家族は分からなくて溝が出来、定年退職したら離婚を切り出されそうな感じ。
奥さんが死んだふりをして旦那さんを出迎えるのは、私には奥さんの心の悲鳴に聞こえる。たった一人で上京して嫁いできて、働いているわけでもなく、子供がいるわけでもなく。地域から孤立し、たった一人で昼間を家で過ごす。頼りになるのは旦那さんだけなのだから、精一杯の気を引く表現として死んだふりをしてみせているんだから、旦那さんは何でもいいから反応すべきだと思う。しかし旦那さんは「スルー」することで自分のプライドを保つ。この場合のスルーは最悪の対応だと思う。
そして、理性的に「なぜ死んだふりをするのか」と問いかける。妻は「いたずら」と答える。そりゃそうだよ。いきなり本音を吐露したりしないよ。でも旦那さんはそれで「死んだふりをするのはいたずらだから」として処理してしまう。
奥さんが「優しい言葉は人を傷つけるから」と言ったとき、旦那さんは「理解不能」で思考停止する。ダメだよ。その言葉を心の中で百万回でも繰り返して咀嚼しなくちゃ。一生かかっても理解できないかもしれないけど、理解することを放棄するのは最悪の対応だと思う。
私は本書をこのように読んだ。もちろん実際の家庭がそうであるとは限らない。実は円満夫婦なのかもしれない。というか、そうであることを切に望む。